新車ディーラー歴87年目の挑戦。福島日産がカーセブンに加盟し、買取強化に踏み出した理由

新車ディーラーとして87年の歴史を持つ福島日産自動車株式会社が、なぜいま「カーセブン」と組み、中古車買取事業に本格参入したのか。その背景には、地域のカーライフを一気通貫で支えるための戦略的な判断と、カーセブンの“安心宣言”に深く共鳴した理念の一致がありました。
今回は、福島日産自動車株式会社、金子與志幸社長とカーセブン郡山香久池店の中村里志店長のお二人に、買取事業参入の狙いと、そのパートナーとしてカーセブンを選んだ理由を伺いました。
運営会社:福島日産自動車株式会社

地域の移動を支え続ける福島日産の経営哲学
御社の事業内容と経営方針を教えてください。

金子社長:
当社は創業以来「時代に善処し、人々のお役に立つ」という精神を受け継いできました。私は四代目としてこの理念を「いち、はやく」というブランドメッセージに再定義しています。お車のことで困ったときに真っ先に思い浮かべてもらえる企業でありたい。そのために、スピードと誠実さを軸に、お客様に寄り添う姿勢を大切にしています。
これまで新車販売を中核事業としてきましたが、中古車、買取、整備、車検、保険、そして適正なリサイクル(廃車)まで、車の一生を一貫して支える「循環モビリティ社会」の実現を目指しています。
人口減少や高齢化が進む福島では、移動とエネルギー、防災という観点からの価値提供がより重要です。私たちが常に心に留めているのは、「お客様にとっての最善」を共に考えること。車を買うのか手放すのか、維持費はどうあるべきか、別の移動手段が良いのではないか。一人ひとりの人生に寄り添うことこそ、私たちの存在意義だと考えています。
なぜ今、新車ディーラーが中古車事業を強化するのか
新車を中心に販売してきた御社が、新たに中古車事業に注力する理由を教えてください。
金子社長:
中古車事業を強化する理由は、カーライフの多様化が進み、新車だけでは応えきれないニーズが増えてきたことにあります。福島では生活圏の広さや家族構成によって最適な選択肢が変わるため、中古車という選択肢が欠かせません。
また、新車はディーラー、買取は別店舗という構造では、お客様の変化や乗り換えのタイミングを捉えきれず、接点が分断されてしまいます。私たちが愛車の「始まりから終わりまで」を支えるためには、中古車・買取の強化が不可欠でした。
人口減少が進む地域だからこそ、新車市場だけに依存する経営は持続可能なモデルへと進化させる必要があります。中古車買取は、お客様に寄り添い続けるための重要な事業領域だと考えています。

数ある中古車買取FCの中からカーセブンを選んだ決め手
カーセブンに加盟した背景・決め手を教えてください。
金子社長:
カーセブンに加盟した最大の理由は、「安心宣言」に象徴される透明性が、当社の誠実さと完全に一致していたことです。査定前に約款を説明し、相場と減点理由を丁寧にお伝えする。この透明なプロセスは、私たちが大切にしてきた姿勢そのものでした。
もう一つ大きかったのは、「これまで新車販売を主軸とするディーラー構造上、独自の相場形成を持つ買取専門領域には踏み込みきれなかった課題ディーラー構造上、手薄になりやすかった買取領域」を克服できる点です。相場説明の根拠が曖昧だった課題に対し、カーセブンの標準化された査定フローは誰が対応しても同じ品質を提供できます。サービス品質の均質化という私たちの課題に合致していました。
さらに、査定から電子サインまで一気通貫で進むシステムの完成度は群を抜いていました。新人でも迷わず使えるUIと、コンプライアンスが仕組み化されたシステム。組織全体で品質を担保できる点が決め手でした。
なぜ郡山・香久池を「1号店の出店地」に選んだのか
1号店を郡山で構えた理由を教えてください。
金子社長:
最大の理由は、福島日産の新車ディーラーと整備工場がすぐ隣にあるという立地でした。買取後の点検・整備・名義変更までを一気通貫で対応でき、お客様に安心を提供できるうえ、ディーラーの強みを最も発揮できる環境だったからです。
さらに香久池は全国でも有数のディーラー密集地帯で、複数店舗を比較検討するお客様が多く、自然と買取店として視野に入れていただきやすいエリアでもありました。もともと当社の中古車販売店舗だった区画で商圏の特性も熟知していたため、蓄積した知見を活かしてスムーズにカーセブン事業へ移行できた点も大きな後押しになりました。郡山は県の中心で交通の要衝という点でも、今後の展開の起点としても理想的です。
開店後は、これまで受けきれなかった買取相談が一気に増え、既存のお客様だけでなく、新しい層との接点が広がりました。新車ディーラーはどうしても「買うときだけの関係」になりがちですが、買取はライフステージの変化に寄り添えるビジネスです。ご相談内容から生活背景や今後の見通しまで理解でき、それがLTV(顧客生涯価値:お一人のお客様と生涯を通じてお付き合いすること )向上にも確実につながり始めています。
FC加盟の価値──カーセブンのDX・標準化が現場を強くする
顧客管理システム・査定ツール・電子契約の使い勝手はいかがですか。
金子社長:
カーセブンのシステムは、私が見てきた中古車関連の仕組みの中でも、最も完成度の高いDXだと感じています。先ほどもお話ししましたが、査定、約款説明、撮影、見積提示、電子サインまでが一つの流れで設計されており、スタッフが迷わず業務を進められます。
コンプライアンスが人の意識ではなく仕組みとして担保されている点は、経営者として大きな安心材料です。さらに、顧客データや査定履歴、相場情報が一元化されており、属人的になりがちなデータ管理が、組織全体の標準に引き上がった実感があります。
中村店長:
店舗の現場で助かっているのは、UIが直感的で、新人でもすぐに操作できる点です。査定項目がステップごとに整理され、入力漏れが起きない仕組みになっているので、経験の浅いメンバーでも同じ品質で査定できます。相場情報が自動更新されるため、金額の理由について、根拠を持って説明できるようになりました。
さらに電子契約の導入で、お客様への説明責任もより確実に果たせるようになりました。同じ画面を共有しながら説明できるため、トラブルの余地が非常に少なくなり、信頼向上にもつながると実感しています。

現場がつくった言葉が、行動を変えていく
カーセブンでは「カーセブンフィロソフィ」を掲げています。そのうち1~9は共通ですが、10個目は各店舗がお客様のために独自に定めています 。この取り組みについてどうお感じですか。
金子社長:
スタッフが自分たちで考えたフィロソフィーである「地域で最も信用され、車のことなら何でも相談できる存在を目指す」は、福島日産が大切にしてきた精神と重なります。大切なのは、その言葉を日々の行動に落とし込むこと。挨拶や美化活動、お客様ファーストの提案といった取り組みが実際の行動として根づき、明文化したことで「自分たちへの約束」として機能し始めています。
中村店長:
やはり、自分たちで決めた言葉だからこそ、行動への落とし込みが自然に進みます。特に力を入れているのが、問い合わせへの迅速な対応です。電話やネット相談にはできる限り即返答を徹底し、フィロソフィーを行動に落とし込んでいます。しかもこれは福島日産の理念「いち、はやく」にもつながるアクションです。スピードはお客様の不安を解消し、安心して相談いただくための重要な価値だと考えています。
新車×買取で「お客様との接点が倍増」早速相乗効果を発揮
新車ディーラー事業とカーセブン事業の相乗効果を感じていますか?
金子社長:
最も大きな変化は、やはりお客様との接点が大幅に増えたことです。新車の商談は買い替えタイミングに限られますが、買取は、例えば免許返納、家族構成の変化、維持費の見直し、転勤など、生活の節目で相談が入ります。
そのたびにお客様の本音に触れる機会が生まれ、次の乗り換えや保険・整備へ自然につながっていきます。福島日産として「お客様の人生に寄り添う」という本来の姿に近づいていると感じています。
中村店長:
買取査定では、次の車の希望条件や乗り換え時期、整備・車検への不安、保険の見直しなど、さまざまな情報が自然と出てきます。買取査定はお客様が本音を話してくださるきっかけになるのです。その情報を隣の新車店舗や整備工場につなげられるようになり、接点が途切れなくなりました。
また、カーセブンの査定・説明プロセスは実務的で、若手育成にも非常に有効です。相場や車両状態、価格の根拠を整理して説明する習慣がつくため、今後、新車ディーラーに戻ったとしてもカーセブンで培った知見を活かせると思います。
循環モビリティ社会の実現へ 福島日産の中長期戦略と出店方針
今後の追加出店や経営戦略についてどのような考えをお持ちですか。
金子社長:
追加出店は、数を増やすことを目的にはしていません。まずは香久池店を福島日産らしいモデル店舗として確立することが最優先です。そのうえで、お客様の近くに拠点が必要だと判断できるエリアから、段階的に広げていくのが適切だと考えています。
一方で、カーセブン事業を始めてから、会社全体の可能性が大きく広がった実感があります。乗り換えや家族構成の変化、維持費の見直しといった生活の変化に触れる場面が増え、それが車検・整備・新車提案へと着実につながり始めているからです。
加えて、当社は廃車工場の買収により、車の最終段階まで責任を持てる体制が整いつつあります。新車販売から買取、中古車、整備、廃車までを一貫して担えるようになったことで、循環型モビリティ社会に向けた取り組みがようやく形になり始めました。カーセブン事業は、その循環の入口として重要な役割を果たしています。
今後の出店についても、この循環が無理なくつながるかどうかを基準に判断します。商圏や交通量に加え、整備工場や廃車工場と連携しやすいか。そうした点を丁寧に見極めながら、価値を届けられるエリアから順に検討していきます。

