放置車両は自分で撤去すると違法になる？勝手に撤去できない理由や撤去する方法を解説

放置車両は、私有地に限らず公共の場所にも放置される場合があります。自分の敷地内に放置された車であっても、車を勝手に撤去するには法的な制約があり、法律で禁止されています。無断で撤去すると損害賠償を請求されるリスクがあるので注意しましょう。

それでは、放置車両が自分の私有地にある場合、どのようにすれば良いのでしょうか。この記事では、放置車両を撤去するための方法を詳しく解説します。さらに放置車両を撤去するときにかかる費用と、車両を放置されないための対策についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

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放置車両は勝手に撤去できない

私有地や通行の妨げになる場所に放置された放置車両については、自己判断での撤去はできません。勝手に撤去すると、車両の持ち主から訴えられる可能性があります。車両が放置されていることによって、他の人の通行の邪魔になったり、景観を損ねたりするかもしれませんが、自己判断で行動することは避けましょう。

放置車両の問題を解決するためには、法律に基づいた適切な手続きが必要となります。たとえば、まず地域の警察署や自治体に連絡を取ったり、車の持ち主に連絡を取り撤去を要求したり、放置車両の所有権を取得し自分で撤去したりする方法があります。放置者を撤去するまでは時間がかかることもありますが、トラブルを避けるためにも、正しい手順を踏むことが大切です。

無断で撤去すると、損害賠償請求や訴訟されるリスクに直面する可能性があるので、この記事の解説を参考にしながら解決していきましょう。

放置車両を勝手に撤去できない理由

放置車両を勝手に撤去できない理由として、以下の2つがあります。

それぞれ確認してみましょう。

自力救済の原則があるから

法的手続きを経ずに勝手に放置車両を撤去することができない理由として「自力救済禁止の原則」が関係しています。「自力救済禁止の原則」とは、個人が法的な手続きを経ずに自らの問題を解決することを禁じる法の原則です。

つまり、他人の財産である車両を勝手に動かすことは、この原則に違反する行為です。自力救済を行った場合、損害賠償の請求や刑事罰のリスクがあります。たとえば、無断で車両を移動させて車両に損害を与えてしまうと、その責任を追及されることがあります。

また、車両の無断移動は窃盗や器物損壊などの犯罪行為にあたる可能性もあり、刑事責任を問われる可能性があるので注意しましょう。放置車両の問題に直面した際には、自分で解決しようとせず、法的な手続きに従うことが重要です。

所有者が不明の車は引き取りしてもらえないから

廃車買取業者も車の持ち主が不明な放置車両の処理は行えません。これは、廃車手続きには所有者の印鑑証明と実印が必須だからです。自治体の土地に放置された場合も同様です。しかし、一部自治体では条例を制定し、車の処理を容易にしたり、違反者に罰金を課したりするなどの対策を講じています。

たとえば、千葉市では、「千葉市放置自動車の発生の防止及び適正な処理に関する条例」に基づき、放置車両の処理が行われます。放置車両を見つけたら自分の住んでいる自治体の条例も確認してみましょう。

放置車両を撤去する方法

放置車両を勝手に撤去することはできません。しかし、以下の4つの手順で撤去することが可能です。

自分の所有する敷地内や通行の妨げとなる位置に放置されている車両は、速やかに対処しましょう。

警察に連絡をする

まずはじめに、放置車両の撤去手続きをするために、警察に連絡して事件性がないかを確認しましょう。放置車両が事件や事故に関わっている場合、警察がその車両を撤去する責任を持ちます。なぜなら、事件や事故の証拠として車両が必要な場合や、公共の安全に関わる場合があるからです。

しかし、車両が事件や事故に関与していないと判断されると、警察は直接介入しません。そのため、まずは車両の状況や場所、ナンバープレートなど、可能な限り詳細な情報を警察に伝えましょう。

車両の状態を記録する

警察への連絡時や所有者情報を請求する際は、以下の情報が必要です。

車種と色は見た目で確認できますが、ナンバープレートの情報は特に重要です。ナンバープレートがない場合は、車両の特徴や車台番号も記録しておくと良いでしょう。また、車両がどの日から放置されているかを確認し、記録することも、後の手続きにおいて役立ちます。

これらの情報は、警察や専門業者への報告、裁判などの法的手続きの際に必要になるため、記録しておくと安心です。まずは、放置車両の状態を記録しましょう。

所有者を調べる

放置車両の撤去には、車の持ち主の特定が必要です。車の持ち主を特定するためには、国土交通省の運輸支局から「登録事項等証明書」を請求する必要があります。請求には車両登録番号と車台番号が必要で、これらは車両のナンバープレートや車内で確認できます。

放置車両が普通自動車か軽自動車によって、所有者情報と請求先が異なるので、放置車両に合わせて請求してみましょう。

普通自動車の場合はナンバープレートを陸運支局で照会する

普通自動車が放置されている場合は陸運支局に連絡し、「登録事項証明書」の発行を求めることで、車両の所有者情報を得られます。ナンバープレートの情報と車台番号が必要ですが、個人情報保護の観点から、必ずしも情報が開示されるわけではありません。

また、身分証明書と車台番号の下7桁が求められることもあるので、準備しておきましょう。一般的に、車台番号は車両のボンネット内部に記載されています。

軽自動車の場合は軽自動車協会に問い合わせる

軽自動車の車の持ち主を特定する際には、軽自動車協会への問い合わせが必要です。軽自動車協会での照会には、「登記簿謄本」や「放置車両の写真」、「車両のある場所の地図」や「身分証のコピー」などが必要です。

軽自動車協会では、提供された情報を基に所有者情報を確認します。ナンバープレートがなくても車台番号がわかれば、車の持ち主を特定できる場合があるので、確認してみましょう。

所有者に連絡して撤去してもらう

放置車両の車の持ち主が特定できた場合は、持ち主に対して撤去を要求しましょう。車両の撤去を要求する際は、内容証明郵便を活用してください。内容証明郵便とは、送付する文書の内容が公的に証明される郵便サービスです。

内容証明郵便で撤去を要求することで、法的措置を取る前の段階であることを示し、相手に対して問題解決への圧力をかけることができます。内容証明郵便を送付した後、相手が撤去に応じれば問題は解決しますが、応じない場合はさらなる法的手段を検討する必要があります。

車を撤去してもらえなかったらどうする？

車の持ち主に連絡をしても、放置車両を撤去してもらえない場合があります。撤去してもらえない場合は、以下の手順で車を自分で撤去しましょう。

順番に確認していきましょう。

所有者不明の場合は張り紙をする

車の持ち主が不明な放置車両に対しては、車両に注意喚起の貼り紙をすることが効果的です。張り紙には、以下の内容を記載しましょう。

張り紙の内容や貼っている状況を記録を残し、証人を立てることも有効です。貼り紙を貼る際は、車体にダメージを与えないように慎重に貼りつけ、車両に傷がつかないように配慮することが重要です。賠償責任を避けるためにも、剥がしやすいテープを使用しましょう。

撤去してもらえなかったら訴訟して所有権を自分にする

車の持ち主から撤去の承諾が得られない場合、裁判所に申し立てましょう。簡易裁判所での訴訟を通じ、自分の所有権への移転か強制執行による撤去のどちらかを選ぶことができます。強制執行は確実な方法ですが、時間とコストがかかります。放置車両に価値があれば競売、なければ放置車両の明け渡しや廃棄指示が必要な場合もあります。

車両の価値に応じて異なる対応が求められるため、専門家に相談しながら進めましょう。

車を廃車・売却する

所有権が移った放置車両は、廃車処理や売却が可能です。廃車処理は手続きが複雑なため、専門業者に依頼することが一般的です。廃車や売却の業者の選択肢には、以下が挙げられます。

廃車買取業者を利用すると、買取金額を得ることができるので、出費が抑えられます。

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放置車両の所有者とはどのように連絡を取る？

放置車両の撤去を持ち主に依頼するときには、以下の2つの注意点が挙げられます。

放置車両の撤去の要求する際に、新たなトラブルに巻き込まれないように注意しましょう。

放置車両の所有者とは直接連絡を取らないようにする

放置車両の持ち主の連絡先を入手した場合でも、直接交渉するのは避けましょう。相手がどのような人物かわからないため、法律家や専門業者を通じて交渉した方が安全です。直接交渉すると風評被害や直接的なトラブルに巻き込まれるリスクがあります。

放置車両の撤去を持ち主に要求する際は、専門家のアドバイスを受けながら進めましょう。

弁護士や専門業者に依頼をすると安全

放置車両の撤去は、弁護士や専門業者への依頼が効果的です。陸運局で所有者の情報を確認した後、裁判所への申し立てが必要な場合は近くの弁護士に相談すると良いでしょう。ただし、裁判の場合は高額な弁護士費用と長期的にストレスが伴います。

専門業者への直接依頼がコスト面で有利になることが多く、所有者特定から廃車手続きまで対応する業者もあります。焦らず専門家と相談してみましょう。

【例文】放置車両の警告文の書き方

私有地に無断で駐車された車両への警告文は、所有者と駐車期間を明示し、撤去の意向を伝える内容が重要です。警告文には、以下の内容を記載しましょう。

以下は、警告書の例文です。

警告文を車のフロントガラスに掲示する際は、車にダメージを与えない方法で貼り付けることが重要です。ワイパーと車体の間に挟んだり、ラミネート加工をしたりなどの配慮をしましょう。

放置車両を撤去するのにかかる費用

放置車両を撤去するには費用がかかります。ここでは、放置車両を撤去するのにかかる費用相場について紹介します。ただし、放置車両を買取してもらえる場合があります。

放置車両を撤去するのにかかる費用相場

放置車両の撤去費用は一般的に1万円から2万円程度です。しかし、以下の場合は追加費用が発生する可能性があります。

放置車両の撤去手段として裁判を選択する場合、弁護士費用も考慮する必要があります。撤去方法と費用については、総合的に検討しましょう。

放置車両を買取してもらえることもある

放置された車両であっても、パーツに価値がある場合、廃車買取業者が買取してくれます。ただし、廃車買取業者による買取は、所有権が移転されていることが必須条件です。また、廃車買取業者に頼むと、通常かかるレッカー代金が無料になる可能性があります。

​廃車買取の際、レッカー代や手続きにかかる費用を確認しておきましょう。

放置車両は業者に頼んで撤去してもらうこともできる

一部の廃車買取業者は、放置車両の所有者特定や撤去手続きの代行サービスを提供しています。これらのサービスを利用することで、警察への連絡や裁判の手間を省くことができます。業者に依頼する際には、注意点もあります。合わせて確認してみましょう。

業者に頼めば放置車両は撤去してもらえる

放置車両の撤去は専門業者を利用することで、法令に則って手続きが可能です。多くの業者は法律的な指導を受けており、持ち主を特定したり、撤去の同意を得たり、無主物先占の原則を適用したりすることができます。

この方法は、裁判や強制執行にかかる手間や出費を抑えられます。ただし、業者を利用する際は、レッカー代や手続きなどの費用がかかることに注意が必要です。

放置車両を業者に撤去してもらう際の注意点

放置車両の撤去を業者に依頼する際には、業者の法令遵守や所有者特定の徹底を確認することが重要です。極端に安価な業者は適切な手続きを省略する恐れがあるため、責任の所在や作業範囲を明確にしておく必要があります。

また、持ち主が不明な場合には法令を遵守し撤去しない業者も存在します。新たなトラブルを防ぐためにも、業者の見極めを徹底しましょう。

車両を放置されないためにできること

放置車両問題を未然に防ぐためには、私有地の所有者が予防策を講じることが重要です。効果的な予防策としては、以下が挙げられます。

敷地内を清潔に保ち、ごみを定期的に片付けることも、車両が放置されることを防ぐのに役立ちます。放置車両の撤去にかかる時間やコストを無くすためにも、トラブルの原因を事前に防いでおきましょう。

車両が放置されてしまう理由

車両が放置される原因は、放置される敷地によって異なります。ここでは、車両が放置されてしまう理由について紹介します。

1つ1つ確認し、放置されないための対策をしましょう。

個人の私有地内の場合

個人の私有地には、自動車やバイクが窃盗犯によって乗り捨てられることが多いです。個人の私有地に車両が放置されるリスクを減らすためには、事前の予防すると良いでしょう。たとえば、防犯カメラを設置したり、警告看板を立てたりすることで、窃盗犯による乗り捨てを防ぐことが可能です。

また、敷地内を清潔に保ち、不審な車両が目立つようにすることも予防策の1つです。これらの対策をすることで、窃盗犯が敷地内に車両を放置するリスクを減らせるでしょう。

企業の私有地内の場合

企業の私有地内に車両が放置される原因として、以下が挙げられます。

このような問題は個人が運営するコインパーキングや住宅の駐車場でも同様に発生します。企業や施設は、放置車両を予防するために、適切な防犯策や敷地管理を徹底しましょう。たとえば、駐車場の監視や料金徴収の効率化、警告看板の設置などが効果的です。

公共団体の敷地内の場合

公共の敷地や施設では、違法駐車が日常的に行われがちです。特に国有地や地方自治体管理地など広大なスペースでは、1台の車が目立たないため、長期間の不法駐車が発生しやすい傾向にあります。

また、無料駐車が可能な施設では、長期旅行や出張を理由に駐車スペースを不正利用するケースもみられます。これらの場所では、違法駐車対策として、監視の強化や駐車料金の徴収、放置車両に対する警告看板の設置などが効果的です。

放置車両の撤去に関するよくある質問

Q

ナンバープレートのない車両が放置されている場合はどうすれば良いですか？

A

ナンバープレートがない放置車両の対応には、道路の管理機関への連絡が必要です。ナンバープレートがない車両は、国道や県道、市町村道といった道路の種類によって異なる管理機関への連絡が求められます。連絡する際は、車両の状態や放置場所の詳細を伝えるようにしましょう。

Q

公道に放置されている放置車両はどうすれば良いですか？

A

公道上に放置された車両は、警察や地方自治体が違法駐車として対応します。車両に違法駐車を示すステッカーが貼られた後、警察や地方自治体によって車両が撤去されます。

公道に放置された放置車両を見つけた際は、警察か地方自治体に連絡しましょう。

まとめ

この記事では、放置車両の撤去方法について解説しました。私有地に放置された車両を無断で処分すると法的なトラブルに発展する可能性があるため、正式な手続きを踏むことが重要です。また、放置車両を撤去しようと思うと手間やコストがかかります。

これらを避けるためには、あらかじめ対策をしておくことが大切です。警告文を掲示したり、防犯カメラを導入したりすることで、不法駐車を予防しましょう。

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