リサイクル預託金に消費税はかかる？返還される条件や会計処理を徹底解説

車の購入や売却の際、リサイクル預託金という費用が発生します。何気なくやりとりしているリサイクル預託金ですが、詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか。リサイクル預託金には消費税がかかります。

この記事では、リサイクル預託金にかかる消費税を解説します。また、会計処理の方法やリサイクル預託金が変換される条件などについてもあわせて解説するので、参考にしてください。

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リサイクル預託金とは？

リサイクル預託金とは、車を廃車にする際にかかる廃棄処分料の費用で、車を購入する際に前もって支払います。

かつては車を廃棄処分する際、8割はリサイクルで残りの2割は埋め立て処理とされていました。しかし、廃棄処分車が増えたことで廃棄処分料が支払えず、不法投棄をはじめ地球温暖化などさまざまな問題が発生しました。

そこで廃車処理をスムーズにすすめるため、2005年に「自動車リサイクル法」が施行されました。自動車リサイクル法では、廃車処分料は車の所有者が支払うものと定義づけられています。そのため、車を購入する際に支払わなければいけません。

リサイクル預託金の内訳として、5つの項目に分けられています。

なお、リサイクル預託金は最終的な車の所有者が支払うため、車を売却すれば返却されます。

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リサイクル預託金が必要ない車

車を購入する際に支払うリサイクル預託金ですが、実は支払う必要のない車があります。自動車リサイクル法の対象外となる車とは、以下のとおりです。

以上に記載した車以外は、リサイクル預託金の対象となります。トラックやバスなどの大型車、つまり8ナンバー車などの特殊自動車を含めた全ての車です。

リサイクル預託金を支払うタイミング

リサイクル預託金は、税金とは異なり車を購入する際に一時的に支払う費用です。そのため、一度支払えば、その後定期的に請求されることはありません。

リサイクル預託金を支払うと、証明書として「リサイクル券」がもらえます。車を売却する際にはリサイクル預託金は返却されるため、大切に保管しておきましょう。

リサイクル券は、A～Dの4つの券に分かれています。

車の所有者が変わるたびにリサイクル預託金は返却と負担を繰り返します。そして、最終的に車を廃車する所有者が負担する仕組みです。

リサイクル預託金に消費税がかかるケース

リサイクル預託金に消費税がかかるかは、ケースによって異なります。以下のケースごとに、くわしく見ていきましょう。

車の購入時は不課税

新車を購入した際のリサイクル預託金は、「自動車リサイクル促進センター」にリサイクル料を事前に預けておく形となります。そのため、購入の時点では消費税は不課税です。

不課税とは、消費税を課す対象にならない取引で、以下の4つの要件に当てはまらないものを指します。

一方、中古車を購入する場合は、前の所有者からリサイクル預託券を買い取る形となるため、金銭債権の譲渡に該当します。

金銭債権の譲渡は非課税売上となるため、同様に消費税はかかりません。非課税取引とは、課税対象にそぐわないものや社会政策的配慮から消費税を課税しない取引のことを指します。

車の売却時は非課税売上

車を売却する場合は、これまで支払っていたリサイクル預託金を次の所有者へ譲り渡すことになります。売却が繰り返されると、そのたびにリサイクル預託金の負担者は次の所有者へと移ります。

リサイクル預託金は、「使用済自動車の再資源化等に関する法律」により、資金管理法人に預託されている資金です。

預託金の精算は売主から買主へ預託金の譲渡されたことになります。このような場合も金銭債権の譲渡となり、非課税売上となるため消費税はかかりません。

なお、売却する際はリサイクル券が必要となるため、紛失しないように注意しましょう。

車を廃車する際は課税売上

車を廃車にする場合は、消費税が課税されるため注意が必要です。車を廃車にする際は、支払ったリサイクル預託金が自動車の廃棄処分サービス費用として使われます。

リサイクル預託金として支払った費用は、廃棄処分としてのサービスを受けることになります。廃棄にする時点でリサイクル預託金は消費されるため、課税仕入として区分される仕組みです。

なお車を購入時の税率ではなく、廃車にする時点での税率で消費税がかかるため注意が必要です。

車を購入または売却する場合、消費税はかかりません。しかし、廃車にした場合は、消費税がかかるため注意しておきましょう。

不課税取引と非課税取引の違いによって消費税額が変わることもある

不課税取引か非課税取引かによって、消費税額が変わる場合もあるため注意しましょう。

消費税を納税する際、仕入税額控除の金額や判定を課税売上割合から算定します。課税売上割合とは、売上高全体のうちの課税売上が占める割合のことです。

　　　　　　　　　課税売上高（税抜き）＋免税売上高

課税売上割合=　——————————————————–

　　　　　　　　課税売上高＋免税売上高＋非課税売上高

非課税取引の場合、計算の際に分母に算入します。しかし、不課税取引の際は課税対象外のため、計算式の分母や分子どちらにも算入しません。

そのため、非課税取引か不課税取引かで消費税額が変わる場合があります。

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リサイクル預託金の仕訳

何をしたかによって、リサイクル預託金の仕訳方法が異なります。

それぞれに、くわしく見ていきましょう

車を購入した際の仕訳

まずは、車を購入した際の仕訳を見ていきましょう。たとえば、新車を車両本体価格2,000,000円で購入した場合の仕訳は以下のとおりです。リサイクル預託金を11,000円（うち資金管理料金290円税率10%）支払います。

借方科目	金額
車両運搬具	2,000,000円
リサイクル預託金 （投資その他の資産）	11,000円
支払手数料	264円
仮払消費税	26円
	合計：2,011,290円

貸方科目	金額
普通預金	2,011,290円

リサイクル預託金は、「投資その他の資産」に計上します。なお資金管理料金は、支払う際に「手数料」などで処理し、「課税仕入れ」として計上しましょう。

資金管理料金は、資金管理業務に関する費用として自動車リサイクル法によって車の所有者が負担する料金です。新車購入時は1台290円、中古車購入などの使用済自動車引取時は1台410円を支払わなければいけません。

車を売却した際の仕訳

次に、車を売却した場合の仕訳について解説します。

借方科目	金額
普通預金	1,650,000円

貸方科目	金額
車両運搬具	1,500,000円
リサイクル預託金	11,000円（非課税売上）
固定資産売却益	139,000円
	合計：1,650,000円

この例は、自動車（帳簿価格1,500,000円、購入時のリサイクル預託金11,000円）を1,650,000円で売却した場合です。

車を売却した際のリサイクル預託金は、次に所有者へ譲渡することになり、金銭債権の譲渡に該当するため非課税売上となります。

ただし、個人事業主が売却して利益が発生した場合、「事業主貸」として計上しなければいけません。売却して損失が発生した際は「事業主借」として計上します。なぜなら、売却益や売却損は、譲渡所得に該当するためです。

法人が車を売却して損益が出た場合は、「固定資産売却益」「固定資産売却損」としてそれぞれ計上します。

車を廃車した際の仕訳

車を廃車にした場合の仕訳について、具体的に見ていきます。

借方科目	金額
車両廃棄損	1,500,000円
支払手数料	10,000円
仮払消費税	1,000円
	合計：1,511,000円

貸方科目	金額
車両運搬具	1,500,000円
リサイクル預託金	11,000円
	合計：1,511,000円

上記は、車を（帳簿価格1,500,000円、購入時リサイクル預託金11,000円）を廃車にした場合の仕訳です。

車を廃車にする場合、廃車にした時点でリサイクル預託金は「自動車の廃棄処分サービス」の料金となるため、支払手数料として計上します。また、リサイクル預託金の全額が課税仕入れに該当するため、注意しましょう。

リサイクル料金の内訳は先ほども解説した通り、シュレッダーダスト料金など5つに分かれています。リサイクル預託金を、それぞれ細分化して計上することもあります。

リサイクル預託金とインボイス

賃金管理料金と支払手数料は、車を購入した際や廃車にした際の課税仕入れです。2023年10月からは、仕入れ税額控除には取引先からのインボイス（適格請求書など）が必要となります。

インボイスは、「公益財団法人自動車リサイクル促進センター」のWebサイト「自動車リサイクルシステム」からダウンロード可能です。

インボイス制度による課税事業者の負担を軽減する一定期間の経過措置や少額特例、帳簿の保存のみで仕入れ税額控除が適用される特例もあります。インボイスについても、しっかりと確認しておきましょう。

リサイクル預託金は戻ってくることもある？

リサイクル預託金が戻ってくることもあるのか、気になる方もいるのではないでしょうか。ここでは、以下のケースで、リサイクル預託金が戻ってくるかどうか解説します。

売却時は戻ってくる

車を売却すれば、リサイクル預託金は返金されます。そもそもリサイクル預託金は、車を購入する際に支払う、車の廃棄処分にかかる料金です。そのため、車を売却すれば、所有権は次の購入者へ移ります。

リサイクル預託金は、最終的に廃車にする直前の所有者が支払うことが定義づけられています。

リサイクル料金は以下の5つの内訳になっています。

このうち、「情報管理料金」と「資金管理料金」は購入の際に負担するため返金されません。返金されるのは、「シュレッダーダスト料金」「エアバッグ類料金」「フロン類料金」の3種類です。

ただし、返金方法は買取り業者によって異なります。たとえば、「リサイクル料」として返金される場合や、買取りの査定額に含まれることもあります。不明な場合や気になる場合は買取業者に相談してみましょう。

廃車時は戻らない

車を売却後に廃車にする場合は、リサイクル預託金は返金されません。なぜなら、廃車にする際に廃車処分費用として、リサイクル預託金が使われるためです。

リサイクル預託金とは、いわば廃棄処分料の前払い金です。車の所有権が移る度に所有者が支払い、車を廃車にする最後の所有者がリサイクル預託金を負担し、支払うことになります。

リサイクル預託金を支払いたくない場合は、廃車ではなく売却できないかどうか、相談してみましょう。

廃車にする際はリサイクル預託金は戻りません。しかし、条件次第では「自動車税」と「自動車重量税」が還付される可能性があります。

自動車税は残月の税金が月割りで還付され、自動車重量税は車検まで残存期間が1ヶ月以上で還付されます。

よくある質問

Q

リサイクル券は再発行できますか？

A

リサイクル預託金を支払うと、リサイクル券をもらえます。リサイクル券は、リサイクル預託金を支払った証明となり、車を売却する際に必要な書類です。もし紛失した場合は、残念ながらリサイクル券は再発行できません。 ただし、「自動車リサイクルシステム」のサイトからダウンロードすれば、証明の代用にできます。パソコンでサイトにアクセスし、「リサイクル料金検索」のページから「リサイクル料金の預託状況」を印刷できます。 なお、利用時間は7時〜24時となっているため注意が必要です。また、車台番号や登録番号、車両番号を入力する必要があるため、車検証を用意しておきましょう。

Q

リサイクル預託金は全ての車で必要ですか？

A

リサイクル預託金は、車を購入する際に必要です。普通自動車や軽自動車、トラックにバスなどの大型車と特種自動車（8ナンバー車）など、全ての車が対象です。 しかし、リサイクル預託金の義務のない、対象外となる車もあります。自動車リサイクル法の対象外となる車は、以下のとおりです。 被けん引車（トレーラー） 二輪車（原動機付自転車や側車付き車も含む） 大型特殊自動車 小型特殊自動車 農業機械 林業機械 雪の上を走るスノーモービル

Q

リサイクル預託金を支払っていることを確認する方法はありますか？

A

リサイクル預託金を支払っているかどうか、不安に思う方もいるのではないでしょうか。そのような場合、きちんと支払っているか確認する方法があります。 リサイクル券を印刷する方法と同じく、「自動車リサイクルシステム」のサイトにアクセスし、「リサイクル料金検索」から確認することができます。 サイトにアクセス後「リサイクル料金検索」を選択し、「車両区分」「車台番号」「登録番号」「車両番号」を順に入力し、「自動車リサイクル料金の預託状況」から確認できます。

まとめ

この記事では、リサイクル預託金の消費税や仕訳方法、返金の有無や条件について解説してきました。消費税や仕訳方法は、車を購入や売却、廃車などそれぞれのケースで扱いが異なるため、しっかりと理解することが大切です。

リサイクル預託金は、車を購入・売却・廃車のどのパターンにするかで返金されるかどうかが異なります。どのパターンの場合どういった扱いになるかを踏まえて、車の売買をおこないましょう。

リサイクル預託金として戻ってくる金額とともに、一般的に時間が経過するほど、徐々に車の価値が下がり買取金額も落ちていくことも看過できません。車の売却において損をしない方法は早めの行動がなのです。
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