車のヘッドライトには、前方約40mを照らす「ロービーム」と前方約100mを照らす「ハイビーム」の機能があります。これまでヘッドライトの車検では、ロービームで基準不適合の場合にハイビームでの計測を行っていましたが、2024年8月より新基準が導入され、ロービームのみで測定されることになりました。
これにより、従来は車検に通っていた車が新基準では不合格となる可能性があり、ヘッドライトの修理や交換が必要になる場合があります。新基準の概要や検査項目を確認し、自分の車のヘッドライトが車検基準を満たすか確認していきましょう。
この記事でわかること
- ・車検時のヘッドライト検査の新基準
- ・車検時のヘッドライトの検査項目
- ・ヘッドライトの車検に通過するための対処法
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目次
車検時のヘッドライト検査の新基準
2015年9月以降、車検時のヘッドライト検査では、ロービームで車検不適合の場合にハイビームでの計測が行われていましたが、2024年(令和6年)8月から「ロービームのみで計測し、ハイビーム計測は行わない」という新基準が導入されました。
しかし、新基準の周知期間中にさまざまな意見が寄せられたことを受け、全国的な適用期限は最長で2026年8月1日まで、2年間延長されることになりました。一部地域では新基準の適用が2年延期となり、新基準への移行までの猶予期間中は、再検査時に限りハイビームでの計測が継続されます。
旧基準と新基準、そして最長2年延期の場合の検査内容を表で確認してみましょう。
旧基準 | 新基準 | 最長2年延期の場合 (猶予期間の措置) |
|
適用日 | 2024年7月31日まで | 2024年8月1日から | 2024年8月1日から 2026年7月31日まで |
適用地域 | 全国 | 北海道・東北・ 北陸信越・中国 |
関東・中部・近畿・ 四国・九州・沖縄 (順次新基準に以降) |
検査内容 | ロービームで基準不適合の場合、 ハイビームで計測を行う |
ロービーム計測のみ | 初回:ロービーム計測のみ 再検査:ロービームで基準不適合の場合、 ハイビームで計測を行う |
新基準への移行が完了した地域では、ハイビームでの計測を行わないため、ロービームで基準を満たさない場合は車検に通りません。
なお、延期対象地域では新基準の移行までの猶予措置が設けられていますが、各地域の移行状況に応じて、2026年8月1日までに順次新基準(ロービームのみで計測)に移行されます。
ここからは、旧基準と新基準で変わったことについて詳しく解説します。
2024年7月31日まで旧基準の検査内容
2024年7月31日までの車検では、初回検査時にロービームで基準を満たさなかった場合、ハイビームで再検査が行われ、ハイビームで基準を満たせば車検に通過していました。
しかし、日常的な走行ではロービームが主に使用されます。ロービームの光軸や光量が不適切な状態で車検に通ってしまうと、夜間の運転時に見えにくくなる可能性がありました。
2024年8月からの新基準の検査内容
2024年8月1日からの新基準では、1998年(平成10年)9月1日以降に生産された全車両(※)に対して、ロービームによる検査が義務化されました。
※二輪自動車、側車付二輪自動車、最高速度35km/h未満の大型特殊自動車、最高速度20km/h未満の自動車、および被牽引自動車を除く
新基準では、初回検査・再検査を問わずロービームのみで計測が行われます。ただし、1998年8月31日以前に生産された車両は新基準の対象外となり、完全移行地域でも従来の検査方法が適用されます。
2026年8月まで最長2年延期地域の検査内容
当初は2024年8月1日から新基準に完全移行の予定でしたが、周知期間中にさまざまな意見がありました。そのため、一部地域(関東・中部・近畿・四国・九州・沖縄)では、新基準の適用が最長で2026年8月1日まで延期されています。この地域では新基準に完全移行するまでの猶予期間中、以下の検査内容が適用されます。
【初回検査】
ロービーム計測のみ(ハイビーム計測は行わない)
【再検査】
ロービーム計測でほかの交通を妨げないことが
確認できた場合に限り、ハイビーム計測を行う
延長地域では、ロービームで基準を満たさない場合、再検査時に限り、ハイビームで計測を受けることが可能です。よって、ハイビームで検査基準を満たせば車検に合格します。ただし、初回検査はロービームのみで行われ、ハイビームでの再検査は、ロービームがほかの交通に影響を与えないことが確認された場合に限られます。
なお、延期対象地域は各地域の移行状況を踏まえて、2026年8月1日までに順次新基準に移行される予定です。2026年7月までは、車検を受ける地域によって基準が異なることになります。
車検時のヘッドライトの検査項目
車検では、ヘッドライトの「光量」「光軸」「色」、そしてヘッドライトの物理的な状態が確認されます。それぞれの検査基準について詳しく見ていきましょう。
光量|1灯あたり6,400cd以上
ヘッドライトの光量の検査基準は、1灯あたり6,400cd(カンデラ)以上とされています。これは、リフレクター(反射板)に反射させた際の最も明るい部分の光量を基準にしており、充分な明るさが確保されていない場合は、車検不合格となります。

古い車両や特定の車種では異なる基準が適用されることもあります。
この基準は、夜間走行時の視認性を確保するために重要であり、光量は「ヘッドライトテスター」という機器で確認されます。基準を下回る明るさの場合、車検に通過できません。
光軸|カットラインの位置が適切か
光軸の検査では、対向車への眩しさを避けるため、カットラインの位置が規定内にあるかが確認されます。カットラインとは、ロービームを壁に当てた際にできる、照らされている部分と暗い部分の境界線のことです。
具体的には、前方10mを照らした際のエルボー点(光軸が左上がりになる点)の高さと左右の位置が基準に適合しているかを確認します。光軸がずれるとカットラインが乱れ、車検不合格となる可能性があります。
色味|「白色」であるか
ヘッドライトの色の検査では、光の色が「白色」であることが求められます。極端に青白い、または黄色が強い光は車検不合格となる可能性があります。
一般的に白色とは、ケルビン数でいうと3000〜7000Kの範囲を指します。数字が大きいほど青っぽく、小さいほど黄色っぽく見えますが、実際の検査では検査員の目による判断が行われるため、ケルビン数はあくまで目安です。
状態|劣化や損傷がないか
経年劣化や損傷はヘッドライトの性能低下につながります。そのため、レンズのひび割れやくもりがないかなど、ヘッドライトの物理的な状態も確認されます。
さらに、ヘッドライトに緩みや固定不良がある場合は、走行中に光軸がずれる可能性があるため、不合格となることがあります。
車検に通らないヘッドライトの特徴
新基準では、ロービームで検査基準を満たさなければ、車検に合格できません。以下のようなヘッドライトは、ロービーム検査で基準不適合となり、車検に通らない可能性があります。
これらの特徴が見られるヘッドライトを使用している場合、ロービームの光度や向きが基準に適合するよう、適切な整備や調整が必要です。
ヘッドライトのレンズに曇りや黄ばみがある
ヘッドライトのレンズは、前面にある透明または半透明のカバー部分です。内部の光源から発せられた光を適切な方向に集光・拡散する役割を担っています。
レンズに曇りや黄ばみが生じると、光量が基準値を下回る可能性があります。また、レンズの状態が悪いと光の配光が乱れ、特にカットラインが不明瞭になり、対向車に眩しさを与える恐れがあります。車検に不合格となる場合があるため調整が必要です。
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ヘッドライトの内部リフレクタが劣化している
内部リフレクタとは、光源から発せられた光を効率的に前方に集め、適切な方向へ反射させる反射板のことで、電球やLEDなどの光源の周囲に配置されています。
内部リフレクタの劣化によって反射効率が低下すると、光量不足や配光の乱れが発生する可能性があります。光量不足は車検不合格の原因となるため、リフレクタの状態は重要です。
前照灯ユニットとの相性の悪いバルブを使用している
前照灯ユニットとは車のヘッドライト本体、バルブはその光源となる電球部分のことです。前照灯ユニットと適合しないバルブを使用すると、光量が基準値を下回ったり、光が適切に反射・集光されなかったりして、車検に不合格となることがあります。
特に社外品のバルブを使用する場合、バルブが原因で光度不足や配光の乱れが生じ、車検に通らないケースが多く見受けられます。
ヘッドライトの車検に通過するための対処法
車検時にヘッドライトが検査基準を満たすためには、事前の点検・調整が重要です。車検前に行うことはもちろん、安全な走行を確保するためにも、定期的な点検を心がけましょう。
レンズのメンテナンスを行う
車検に合格するためには、ヘッドライトの光量や光軸が適切であることが求められます。充分な光量を確保し、正しい光軸を維持するためにも、定期的にレンズのメンテナンスを行いましょう。
レンズの黄ばみや曇りは、市販のヘッドライトクリーナーや耐水ペーパー、コンパウンドを使用してきれいにすることが可能です。レンズが過度に劣化したり、ひび割れが見られたりする場合や、セルフメンテナンスが難しそうな場合は、専門業者に依頼することをおすすめします。

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必要に応じてヘッドライトを交換する
ヘッドライトが検査基準を満たすためには、バルブの種類、光量、配光、色味が基準に適合していることが必須です。光量の不足や光軸のずれ、色味が基準に合わないなどの問題がある場合は、ヘッドライトやバルブの交換を検討しましょう。
交換する際は、保安基準に適合した製品を選ぶことが重要です。ただし、バルブ自体が基準を満たしていても、前照灯ユニットとの相性が悪い場合、車検に通らないことがあります。適切なバルブの選定に迷う場合は、ディーラーやカー用品店、整備工場などの専門家に相談することをおすすめします。
ヘッドライトの寿命・交換時期の目安
ヘッドライトの交換時期は、使用するライトの種類によって異なります。一般的な寿命の目安は以下のとおりです。
・ハロゲン:約500~1,000時間の使用または約1年
・HID:約2,000時間の使用または約3年
・LED:通常は約5万時間の使用または約15年
ハロゲンとHIDは、寿命が近づくとバルブの交換が必要です。一方、LEDはヘッドライトに一体化しているため、寿命が来た場合はヘッドライトユニットごと交換する必要があります。
ヘッドライトの交換費用の目安
ヘッドライトの交換費用は、依頼する業者によって異なります。業者ごとの交換費用の目安を見てみましょう。
・カー用品店:バルブ交換800円〜、ユニット交換:2,750円〜
・ガソリンスタンド:2,000円程度
・整備工場:2,000円程度
・ディーラー:4,000円程度
バルブのみの交換であれば、自分で交換することも可能です。自分で交換することで工賃を節約できるため、費用を抑えたい方におすすめです。

自分でヘッドライトを交換する方法はこちらの記事で詳しく解説しています。
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よくある質問
新基準への移行時期は地域によって異なります。
- 北海道・東北・北陸信越・中国:2024年8月1日から完全移行
- 関東・中部・近畿・四国・九州・沖縄:2026年8月1日まで最長2年延長
ただし、延期対象の地域も2026年8月までに順次移行していくため、丸2年の延期が適用されるとは限りません。新基準で車検に通るため、早めにヘッドライトの整備・調整を行うことをおすすめします。
スモークフィルムを貼った場合でも、ヘッドライトが車検の検査基準を満たしていれば通ることは可能です。しかし、フィルムによってヘッドライトの色味が基準である「白色」と見なされない場合、車検に通らないことがあります。フィルムの有無にかかわらず、基準を満たしているか確認が必要です。
ヘッドライトが光量不足になる主な原因は以下のとおりです。
- レンズの黄ばみやくもり
- バルブの劣化
- 内部リフレクターの劣化
など
レンズの黄ばみやくもりは磨きで改善できる場合がありますが、バルブやリフレクターの劣化による光量不足は、部品の交換が必要になることがあります。専門業者に点検を依頼し、修理・交換などの対応を検討しましょう。
ヘッドライトが点かない場合、原因によって対応が異なります。ディーラーやカー用品店、整備工場などで点検してもらい、修理や交換の対応を行いましょう。メーカー保証期間内であれば、無償で交換してもらえる可能性があります。保証期間外で費用を抑えたい場合は、バルブのみであれば自分で交換することも選択肢のひとつです。