車に関する新たな税制度として「走行距離課税」の導入が検討されています。走行距離課税は、ガソリン税の減収や電気自動車の普及といった時代の変化を背景に、車の走行距離に応じて税金を課す制度として注目を集めています。
2025年6月時点では導入時期などの詳細は未定のため、今後の動向に注目していきましょう。この記事では、走行距離課税の導入が検討されている理由や、導入した場合に想定されるメリット・デメリット、課題点などをわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- ・走行距離課税の概要や導入理由
- ・走行距離課税のメリット・デメリット
- ・走行距離課税の導入にあたっての課題
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目次
走行距離課税(走行距離税)とは?

走行距離課税とは、車がどれだけ走行したかに応じて税金を課す制度です。「ガソリン税」とは異なり、実際に走行した距離を基準に税額が決まることが特徴です。
ガソリンに課される税金「揮発油税」と「地方揮発油税」の総称。
ガソリンの給油時に課税され、ガソリン価格に対して消費税も課される。
電気自動車など燃料を使用しない車が増えると、ガソリン税による税収は減少します。そのため、公平で持続可能な税制度として、電気自動車やガソリン車を問わず課税できる「走行距離課税」の仕組みが注目されるようになりました。
ただし、2025年6月時点では検討段階の制度であり、条件や導入時期などの詳細は未定です。
走行距離課税の導入が検討されている理由
走行距離課税の導入が検討されている背景には、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)の普及があります。これらの車が今後さらに広がっていくことを見据え、以下の課題への対応として導入が検討されています。
ガソリン税の減収に対応するため
近年、電気自動車やハイブリッド車といった燃費のいい車の普及により、道路の整備や維持管理に必要な財源の一部を担うガソリン税が減収しています。その結果、インフラ維持に直接的な影響を及ぼしている状況です。今後さらに電気自動車が増加し、ガソリン車の割合が減っていくことで、税収の目減りが深刻化する懸念が高まっています。
これに対して、走行距離課税は燃料の種類や消費量に関係なく「どれだけ走ったか」に応じて課税する仕組みです。走行距離課税が導入されることで、電気自動車やハイブリッド車が普及しても安定的な税収を確保できることが期待されます。
道路利用に関する税負担を公平にするため
電気自動車は電気を使うため、ガソリン税のような、走行するための燃料にかかる税金はありません。しかし、「道路を利用する」という点ではガソリン車と同じであるため、負担の公平性といった観点で走行距離課税が検討されています。
走行距離課税を導入されることで、燃料の種類に関係なく「走った分だけ負担する」という公平な課税が実現しやすくなります。車を使う頻度や距離に応じた負担となるため、より実態に即した制度になると予想されます。

電気自動車は構造上、ガソリン車よりも車両重量が重くなる傾向があり、その分だけ道路に与える負担が大きくなるという指摘もあるようです。
一部の国や地域では走行距離課税が導入されている
一部の国や地域では、すでに走行距離に応じた課税制度が導入されています。たとえば、アメリカのオレゴン州では、乗用車を対象に走行距離課税を適用しています。
ヨーロッパでは、貨物車を対象とした走行距離課税について、各国がそれぞれ互換性のない制度を導入しているのが現状です。ドイツでは「重量貨物車通行税」と呼ばれる制度が導入され、その代わりとして自動車税の引き下げが行われました。

こうした海外の導入事例を参考に、日本でも走行距離課税の導入が検討されています。
走行距離課税の導入はいつから?
2025年6月時点では、走行距離課税の導入時期は正式に決定されていません。議論は進められているものの、制度の具体案はまだ公表されておらず、国会での法案提出や可決にも至っていないのが現状です。
走行距離課税の導入にあたっては、課税対象の明確化やプライバシー保護、地方と都市部の負担差など、多くの課題があるため、慎重に検討されています。
東京都税制調査会では2022年頃から走行距離課税が議題として上がっており、2025年度の初会合でも取り上げられました。さらに政府は、次回のエコカー減税の見直しまでに、EV時代を見据えた新たな税制の枠組みについて検討を進める方針を示しており、制度設計の方向性は今後数年以内に示される可能性があります。
いずれにしても、現時点ではあくまで検討段階であり、今後の議論の進展や政府・自治体の動向に注目しておく必要があるでしょう。
走行距離課税の導入で想定されるメリット
走行距離課税が導入された場合、想定されるメリットは以下の2点です。
ガソリン車と電気自動車の税負担が公平になる
これまでの税制では、ガソリン車はガソリン税を通じて道路整備費用を負担してきましたが、電気自動車はガソリンを使用しないため、同じように道路を利用していても税負担が軽い状況でした。
しかし、走行距離課税が導入されれば、燃料や車種に関係なく「どれだけ道路を走行したか」に応じて課税されます。その結果、ガソリン車と電気自動車の間にあった税負担の不公平が解消されると考えられます。
ガソリン車を使用しているドライバーにとって、税負担の公平性が保たれることはメリットと感じられるでしょう。
走行距離が短い場合は税負担が少なくなる
自動車税(種別割)や自動車重量税は、車の排気量や重量などに応じて一律に課税されるため、あまり車を使用しない人でも、一定の税金を支払う必要がありました。
一方、走行距離課税では、実際に走行した距離に応じて税額が決まります。そのため、普段あまり車を利用しない人や短距離しか運転しない人の場合、これまでよりも税負担が軽くなる可能性がある点がメリットになります。
走行距離課税の導入で想定されるデメリット
走行距離課税が導入されると、運転する人だけでなく、普段あまり車を使わない人にも影響が及ぶ可能性があります。想定されるデメリットは以下の3つです。
移動距離の多い人は負担が大きくなる
通勤や営業などで日常的に長距離を運転する人にとっては、走行距離課税の導入によって税負担が増加する可能性が高いです。特に、公共交通機関が整っていない地方や郊外では、車が生活必需品であるにもかかわらず、これまで以上の税負担が生じることは大きなデメリットになるでしょう。

実際、地方居住者など移動距離の多い人の税負担の増加については反発の声が上がっています。
物流業界の負担が増えて配送料が高くなる
運送業や宅配業界など、車で長距離を移動することが多い業種では、走行距離課税の導入によって事業用車両の税負担が増加します。この増加分は、最終的に配送料や運賃の値上げとして消費者に転嫁される可能性があります。そのため、自動車を所有していない人にとっても負担が生じることになるでしょう。
バスやタクシーなどが値上げされる
バスやタクシーも走行距離が長くなりやすい業種であるため、走行距離課税が導入されれば運営コストが増加する可能性があります。これにより、バス代やタクシー料金の値上げにつながることも想定されます。
また、レンタカーやカーシェアリングも同様に値上げの可能性があるため、これらのサービスを利用する人も、負担が増えることになるでしょう。
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走行距離課税の導入にあたっての課題
走行距離課税を導入するにあたって、以下4つの課題があります。
正確な走行距離の把握方法
走行距離課税の導入では、「どのようにして走行距離を正確に計測するか」が大きな課題です。オドメーター(走行距離計)の数値を自己申告する方式では、改ざんや不正申告のリスクがあるため、課税の公平性や信頼性が損なわれるおそれがあります。
海外では、GPS機能を備えた専用の車載器で走行距離を自動的かつ正確に記録する方式が主流です。日本でも、こうした技術の導入が求められるでしょう。
初期投資や運用コスト
走行距離課税の実現には、GPSなどの計測装置を全車両に設置し、走行データを収集・管理するシステムを新たに構築する必要があります。これには多額の初期投資や運用コストがかかるうえ、既存の税制からの移行期間には一時的な税収減への対応も求められます。
制度を全国で運用するには、技術だけでなく法制度やルールの整備も不可欠であり、費用対効果や効率的な運営方法の検討が大きな課題となるでしょう。
プライバシーの問題への配慮
GPSなどで走行距離を計測する場合、走行ルートや時間帯など個人の行動履歴に関する詳細なデータが収集されます。そのため、個人情報の取り扱いやプライバシー保護への懸念も指摘されています。
さらに、走行距離データの適切な管理や、情報漏洩・不正利用防止のための厳格なセキュリティ対策も不可欠です。制度設計の段階から、個人情報保護を重視した仕組みづくりが求められるでしょう。
電気自動車(EV)の普及促進につながらない
走行距離課税が導入されると、電気自動車にもガソリン車と同様に走行距離に応じた課税が適用されます。これまで、電気自動車は税制面での優遇が普及促進の後押しとなっていましたが、走行距離課税の導入によってこのメリットが薄れてしまいます。
その結果、電気自動車の導入意欲が下がり、環境政策や脱炭素社会の実現に影響する可能性も懸念されます。
すでに導入されている自動車関連の税金
走行距離課税はまだ導入されていませんが、今後、制度の見直しや追加課税の検討が進められる可能性があります。すでに導入されている主な自動車関連の税金についても確認しておきましょう。
税金の種類 | 概要 |
自動車税(種別割) 軽自動車税(種別割) |
・排気量や用途に応じて、毎年課税される ・毎年4月1日時点の所有者に納税義務がある |
自動車重量税 | ・車両重量に応じて課税される ・新車購入時および車検時に納税する |
環境性能割 | ・車の燃費性能などに応じて、取得時に課税される ・取得価額が50万円以下の車や、一定の燃費基準を満たす車は非課税 |
ガソリン税 | ・ガソリンの購入時に、ガソリン代に含まれる形で課税される ・揮発油税は国税、地方揮発油税は地方税これらを含んだ 価格に対して、さらに消費税が課税される |
消費税 | ・車両の購入時や整備・修理などのサービス利用時に課税される |
走行距離課税で負担は増える?今のうちに維持費が安い車へ乗り換える選択肢も
走行距離課税は、まだ導入が正式に決定しているわけではありませんが、将来的に税負担が増える可能性があります。導入時期や課税の仕組みも明らかになっていないため、政府の発表や自動車関連団体の情報を継続的に確認し、状況に応じて柔軟に対応できるよう備えておくことが大切です。
負担の増加に不安を抱く方や、すでに車の維持費が重いと感じている場合は、燃費のいい車や軽自動車への買い替えを検討するのもひとつの選択肢です。維持費や税金が比較的軽い車に乗り換えることで、車にかかる総コストの削減につながるでしょう。
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よくある質問
2025年6月時点では、走行距離課税の導入時期は決定されていません。導入にあたっては課題が多いため、今後数年をかけて慎重に検討されると考えられます。今後の議論の進展や政府・自治体の動向に注目しておきましょう。
走行距離の把握方法は、現時点ではまだ決まっていません。オドメーターによる自己申告とする方法では、改ざんのリスクが懸念されています。海外ではGPSによる計測が主流ですが、日本で導入する場合は初期投資や運用コスト、プライバシー保護といった課題への対応も必要です。
現時点では、走行距離課税が導入された場合に自動車重量税が必ず廃止されると決まっているわけではありません。ただし、総務省などでは自動車税制全体の見直しが進められており、今後の制度設計によっては、自動車税(種別割)や自動車重量税の廃止または見直しがされる可能性もあります。
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