パドルシフトとは、ハンドルについている、もしくは後付けできる、ギアを変えるための装置です。どの車にも必ずついているわけではありませんが、使用すればシフトレバーを操作することなくギアを変えられます。
この記事でわかること
- ・パドルシフトを使うメリット・デメリット
- ・パドルシフトの使い方
- ・パドルシフトを使う際の注意点
パドルシフトについて理解すれば、運転のバリエーションを広げられます。正しい操作方法を把握して、今後の運転をより楽しめるようにしましょう。
※本記事で記載のAT車という表記にはCVT車も含みます。
目次
パドルシフトとは

パドルシフトとは、ハンドルについた、ギアを変更できる装置のことです。
AT車では、加速や減速にあわせて自動的にギアを変えてくれますが、時にはドライバーの思い通りの動きではないケースもあります。パドルシフトは、そんなときにハンドルを握ったままでも、ギアを変えてMT車の動きに近づけられる装置です。
ハンドルの横やサイドブレーキのそばにあるシフトレバーでも、ギアは変更できます。しかし、日常的にギアチェンジを行う方であれば、両手でハンドルを握ったままでも操作できるという点で、パドルシフトのほうが便利と感じる方も多いでしょう。
また、シフトレバーでは誤操作によるギアの入れ間違えが起こりやすいですが、パドルシフトでは入れ間違えが少ないとされています。

はじめにパドルシフトが導入されたのは、フェラーリのF1カーと言われており、その後、1997年にF355というモデルに「F1マチック」という名称で導入されました。これが最初にパドルシフトを使用した市販車とされています。
パドルシフトのメリット
パドルシフトには、以下の3つのメリットがあります。
下り坂で減速できる
一般的な下り坂であれば、通常のエンジンブレーキで減速できますが、山道などの下り坂が続く道でエンジンブレーキを踏み続けると、以下の2つの現象が起こる可能性があります。
◯ フェード現象
ブレーキが加熱しすぎてブレーキの効きが悪くなる
◯ ヴェイパーロック現象
ブレーキフルード(ブレーキの油圧を制御するのに必要な液体)に気泡が入りブレーキの効きが悪くなる
パドルシフトを使用すれば、上のような現象を防ぎつつ、簡単にシフトダウンしながらエンジンブレーキをかけられます。
マニュアル車(MT車)のような運転を楽しめる
パドルシフトを使えば、MT車のようにこまめなシフトチェンジが体感でき、車を操作している感覚が運転手に直接伝わります。
パドルシフトは、AT車の制御の範囲内であれば、ドライバーの好きなギアでの運転を可能にする装置です。以下のような場面で役立つでしょう。
・カーブで減速した後すぐに加速したい
・高速道路の合流で緩やかに加速したい
・坂道をパワフルに登りたい
・凍結した路面など、不用意にブレーキを踏むとスリップしやすい道でギアを落としたい
燃費が良くなる
パドルシフトをうまく使うことで、燃料を使わない状態(燃料カット)を意図的に作り出せます。フットブレーキとアクセルを用いて運転するときは、エンジンの回転数を一定に保ちにくく、燃料を使う設定になっています。その点、パドルシフトを使う運転では、回転数をコントロールできるでしょう。
また、以下のような良い影響も起こり得ます。
・ブレーキの摩耗を防ぎ、ブレーキパッドの交換頻度を減らせるため節約になる
・EV車の場合、パドルシフトを使うことで「回生(失ったエネルギーを違う形に変換して貯める)ブレーキ」になり、通常時よりも多くの電気を獲得できる
・FR車の場合、効率よくタイヤを摩耗できるため、タイヤ交換の頻度も減らせる
パドルシフトのデメリット
大きなメリットもある一方、以下のようなデメリットもあります。
慣れていないと操作が面倒
AT車を運転する方のなかには、フットブレーキを使うことが多く、エンジンブレーキをかけたことがない方もいるでしょう。
そんな方が「シフトアップ」や「シフトダウン」と言われても、どの状況でどちらを使えばいいのか混乱してしまいます。エンジンブレーキに慣れていない方は、いきなり実践するのではなく、練習してから使用するとよいでしょう。

手が小さい方やハンドルを持つ位置に好みがある方などは、扱いにくいと感じるかもしれません。
使い方次第では車に悪影響がある
パドルシフトの使い方を間違えると、車に悪影響を及ぼす可能性があります。
使用時には、1段階ずつ上げたり下げたりしなければいけません。この使い方を守らずに連続して操作するようなことがあれば、トランスミッションによってうまく調整されたエンジンの回転数のバランスが崩れ燃費が悪くなる、などの問題が起こる恐れもあります。

パドルシフトが搭載されていても使用が推奨されていない車もあるため、使用前に付属の説明書を読んでおきましょう。
パドルシフトの使い方

一般的なAT車の場合、パドルシフトはハンドルの3時(右側)と9時(左側)の部分の後ろ付近についていることが多いです。


大抵のパドルシフトは、右側が「+」・左側が「−」という表示がついており、+を手前に引くと「シフトアップ」、−を手前に引くと「シフトダウン」になります。シフトレバーをMにしてから、それぞれのレバーを引くことが推奨されています。

ただし、ここで説明しているものに当てはまらないパドルシフトがある、またはパドルシフトによって動作状況が異なる場合もあるため、使用時は車の説明書を読んでからにしましょう。
パドルシフトを使う際の注意点
1段階ずつシフトを上げ下げする以外にも、パドルシフトを使う際は、2つの注意点があります。
直線での使用は逆効果になる場合がある
加速する際にパドルシフトを使うことで、逆に減速してしまう可能性があります。
AT車のギアを変速するシステムは、効率よく加速されるように作られています。しかし、パドルシフトがその仕組みを崩してしまうかもしれません。

特に直線で加速する状況で、パドルシフトを使って無理に加速しようとすると、通常時よりも遅くなる可能性があることを覚えておきましょう。
電子制御が優先される場合がある
パドルシフトは、ギアチェンジしている感じを味わえるものです。
しかし、運転状況によっては、電子制御が優先されて思い通りの動きにならない可能性があります。たとえば、エンジンの回転数とあまりにもかけ離れたギアチェンジである場合などがそれに当たります。

あくまでも、MT車を運転している雰囲気を気軽に擬似体験できるものと考えておきましょう。
カーセブンで購入可能なパドルシフト搭載車5選
販売されている車のなかには、パドルシフトが標準装備されたものもあります。

ぜひ探してみてください!
【SUV】スバル フォレスター

1997年の発売当初から根強い人気を誇る「スバル フォレスター」。
パドルシフトは全グレードに標準装備されています。
運転支援システム「アイサイト」が搭載された車種もあり、安全性を求める方にも向いているでしょう。
カーセブンでは、約40万〜360万円で購入可能です。(2023年6月時点)
【ハッチバック】スバル インプレッサスポーツ

2022年に誕生30周年を迎えた「スバル インプレッサスポーツ」は、ハンドルの操作性に優れた剛と柔のどちらの特徴も兼ね備えた車です。
パドルシフトは全車で標準装備されます。
2022年12月には生産が終了しましたが、2018年式など、年式が新しいものも流通しています。
カーセブンでは、約30万〜170万円で購入可能です。(2023年6月時点)
スバル インプレッサスポーツ
車両本体価格125.5万円
支払総額143.0万円
諸費用17.5万円
スバル インプレッサスポーツ
車両本体価格90.0万円
支払総額103.6万円
諸費用13.6万円
スバル インプレッサスポーツ
車両本体価格119.6万円
支払総額135.5万円
諸費用15.9万円
スバル インプレッサスポーツ
車両本体価格91.9万円
支払総額107.8万円
諸費用15.9万円
【ハッチバック】ホンダ フィットハイブリット

画像引用元:【公式】ホンダ フィット|BASIC
後部座席や荷室が広く、燃費性能にも優れた「フィットハイブリット」は、S Honda SENSINGにパドルシフトが標準装備されています。
安全支援システム「Honda SENSING(ホンダ センシング)」も標準装備されており、安全面のサポートを気にする方にもピッタリでしょう。
カーセブンでは、約30万〜196万円で購入できます。(2023年6月時点)
【軽自動車】スズキ ハスラー

画像引用元:ハスラー 価格・グレード|スズキ
街乗りにもアウトドアでの走行にも便利な軽クロスオーバーSUVの「スズキ ハスラー」。最上級モデルの「Jターボ」のみがパドルシフトを標準装備しています。
カーセブンでは、約50万〜199万円で購入可能です。(2023年6月時点)
スズキ ハスラー
車両本体価格108.3万円
支払総額118.4万円
諸費用10.1万円
スズキ ハスラー
車両本体価格151.2万円
支払総額161.7万円
諸費用10.5万円
スズキ ハスラー
車両本体価格84.3万円
支払総額94.4万円
諸費用10.1万円
スズキ ハスラー
車両本体価格124.0万円
支払総額132.5万円
諸費用8.5万円
【軽自動車】スズキ ワゴンRスティングレー

画像引用元:ワゴンR 価格・グレード|スズキ
軽自動車ながら、広々とした空間が特徴の「スズキ ワゴンRスティングレー」。「ハイブリットT」のみにパドルシフトが標準装備されています。
カーセブンでは、約30万〜130万円で購入できます。(2023年6月時点)
スズキ ワゴンR スティングレー
車両本体価格81.9万円
支払総額86.9万円
諸費用5.0万円
スズキ ワゴンR スティングレー
車両本体価格52.8万円
支払総額61.2万円
諸費用8.4万円
スズキ ワゴンR スティングレー
車両本体価格43.7万円
支払総額53.5万円
諸費用9.8万円
スズキ ワゴンR スティングレー
車両本体価格96.8万円
支払総額105.3万円
諸費用8.5万円
パドルシフトは後付けも可能
パドルシフトがついていない車であっても、シフトレバーで変速できるもの(マニュアルモードがついているもの)であれば、後付けできる可能性が高いです。
マニュアルモードがついているかどうかは、「D(ドライブモード)の部分に+と−のマークがあるか」や「シフトレバーにMの文字があるか」などでわかります。

後付け用のキットなども販売していますが、取りつける作業は難易度が高いとされています。取り付け方は車種によって異なるので、詳しくは販売店などに問い合わせてみましょう。
よくある質問
パドルシフトとは、ハンドルを握ったままでもギアを変更できる装置です。詳しくはこちらで解説しています。
パドルシフトのメリットは「下り坂で減速できる」「マニュアル車(MT車)のような運転を楽しめる」「燃費が良くなる」の3つです。詳しくはこちらで解説しています。
パドルシフトのデメリットは「慣れていないと操作が面倒」「使い方次第では車に悪影響がある」の2つです。詳しくはこちらで解説しています。
パドルシフトは、+を引くことで「シフトアップ」、−を引くことで「シフトダウン」ができます。パドルを引く前には「マニュアルモード(M)」に入れるようにしましょう。
パドルシフトを使うときには、「直線での使用は逆効果になる場合がある」「電子制御が優先される場合がある」という2つに注意しましょう。詳しくはこちらで解説しています。
パドルシフトは後付けも可能です。ただし、後付けができない車もあるため、詳しくは車の販売店などに相談しましょう。
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