2WDと4WDの違いは、エンジンで駆動するタイヤの数です。住んでいる環境やよく走行する路面の状況によって、どちらを選ぶべきかが変わります。
2輪のみが駆動する2WDは燃費性能がいいため、普段雪道や悪路を走行する機会がないのであれば2WDの車がおすすめです。
4WDは4輪すべてが駆動する方式なので、2WDに比べると燃費性能は劣ります。しかし、雪の降る地域に住んでいる、滑りやすい路面を走る場合は走行性能の高い4WDを選びましょう。
この記事でわかること
- 2WDと4WDの違い。燃費や気になる価格帯
- 2WDと4WDのそれぞれおすすめな人
- 2WDと4WDの種類と特徴
目次
2WDと4WDの違いは駆動輪の数
駆動するタイヤの数は具体的に以下のように異なります。
・2WD:Two Wheel Driveの略で、前輪か後輪のどちらか2輪が駆動します。
・4WD:Four wheel driveの略で、前後のタイヤすべてが駆動します。4WDは「四駆」や「AWD(All Wheel Drive)」と呼ばれることもあります。
駆動輪の数が違うだけでは、見た目が変わることはほぼありません。駆動方式が外装やデザインに影響することはないので、見た目だけでどちらかを区別することは少し難しいです。
車の下を覗くとそれぞれの特徴がわかりますが、4WDだからといって極端にサイズが大きくなる心配はありません。
2WDと4WDの違いは、見た目よりも走行シーンであらわれることが多いです。
2WDと4WDを比較!どんな人におすすめ?
2WDは前輪2本、あるいは後輪2本のどちらかだけが駆動するため、すべての車輪が駆動する4WDに比べると消費するパワーが抑えられて燃費がいい傾向があります。
4WDは4つのタイヤすべてが駆動するため、雪道や凍結路、起伏の激しい路面などを走行しやすいことが特徴です。
燃費などの費用は2WDが有利
2WDは4WDと比べて燃費がいい傾向があります。2WDのほうが部品点数が少なく車自体の重量が軽いので、車を動かすために必要な燃料代にも差が出ます。
参考までに定番のコンパクトカーとミニバンの燃費や車両本体価格を比較してみましょう。
■2WDと4WDのカタログ燃費比較表(ガソリン車でWLTCモードの場合)
ホンダ フィット | 日産 セレナ | |
2WD | 20.4km/L | 13.2 km/L |
4WD | 18.2km/L | 11.8 km/L |
表中のkm/Lで表示されている数字は、燃料1リットルあたりの走行距離です。ホンダ フィット、日産 セレナいずれも2WDのほうが4WDよりも1リットルあたりに走行できる距離が長いことがわかります。
また、新車の車両本体価格も4WDよりも2WDのほうが安いです。
■新車の車両本体価格(税込)
ホンダ フィット | 日産 セレナ | |
2WD | 1,557,600円 | 2,576,200円 |
4WD | 1,755,600円 | 2,824,800円 |
2WDの車は前輪か後輪どちらかにのみエンジンの力を伝えるため、構造が比較的単純で部品数も少なく済みます。
4WDはエンジンの力をすべての車輪に伝える必要があり、部品も多く使用されているため重量も重くなります。
部品点数の多さや重量の差が燃費と車両本体価格にも大きく関わっているのです。
4WDは走破性能が高く悪路に強い
4WDは4輪すべてが駆動するため、エンジンやタイヤの力を路面に伝えやすい特徴があります。メリットは、雪道やぬかるんだ道でもスタックしづらいことです。
上り坂や雪道、滑りやすい凍結路などでも走行しやすく、2WDが苦手とする悪路での発進や起伏の激しいオフロードの走行も4WDならスムーズにできます。
直進安定性に優れている傾向もあり、高速道路などでも4WDのほうが有利です。
それぞれどんな人におすすめ?
・降雪が少ない地域に住んでいる
・市街地をメインで走る
・燃費性能を重視している
・雪国に住んでいる
・悪路を走る機会が多い
・走行性能を重視している
基本的には、車両本体価格や燃費などの費用を抑えられる2WDがおすすめです。雪道などの悪路を走る機会が多い方や、試乗で乗り心地が気に入った方は4WDを検討してみてください。
雪道や凍結路を走る機会があまりなければ、2WDでも充分です。
2WDの種類と特徴
2WDはエンジンと駆動輪の位置によって、4種類に区分されています。
・FF(フロントエンジン・フロントドライブ)
・FR(フロントエンジン・リアドライブ)
・MR(ミドルシップエンジン・リアドライブ)
・RR(リアエンジン・リアドライブ)
2WDの区分をあらわすとき、1つ目のアルファベットはエンジンの位置、2つ目のアルファベットは駆動輪が前後どちらなのかを示しています。
「FR」の場合、最初の「F」はフロントエンジン(前方にエンジン)、2つ目の「R」はリアドライブ(駆動輪は後輪)を指します。つまり、前方にエンジンを積み、駆動輪は後方の車という意味です。
フロントは前方、ミドルシップが中間、リアは後方を意味しています。
FF(フロントエンジン・フロントドライブ)
前方にエンジンを積み、駆動輪も前方の車です。2WDの多くはFF車で、もっとも一般的な駆動方式です。
ボンネット部分に駆動パーツが集まっているおかげで、車内空間を広く確保できます。ただしFRと比較すると最小回転半径が大きくなる傾向があります。
最小回転半径とは、右か左にハンドルを最大まで切った状態でゆっくりと旋回し、一番外側のタイヤの中心が描く円の半径のことです。
FFの車は、前方にエンジンがあることと前輪に動力装置がついていることで前輪周辺の空間が大きく取れないため、最小回転半径が少し大きくなりやすいのです。
FR(フロントエンジン・リアドライブ)
FRは前方にエンジンを積み駆動輪が後方の車で、スポーツカーなどに採用される駆動方式です。
前方にエンジンがあるため、旋回能力や重量バランスに優れています。
前方のエンジンから後輪に動力を伝える構造上、車体下部にプロペラシャフト(車体中央の前後に通る回転軸)を通す必要があります。そのため車内、とくに足元が狭くなってしまう傾向があります。
MR(ミドルシップエンジン・リアドライブ)
MRはエンジンを前輪と後輪の間に搭載して、後輪を駆動させる方式です。レーシングカーなどに多く採用されています。
車体の重心を中央に寄せることで、旋回しやすいのがメリット。後輪に力を加えやすく、加速力や走行安定性も高いです。
中央にエンジンがあり車内や荷室が狭くなるため、普段使いには向いていません。そのため、一般乗用車でMRを採用している車は少ないです。
RR(リアエンジン・リアドライブ)
RRは車体後部にエンジン・駆動輪を集中させた方式です。エンジンと部品が後方に集まっているため、FFほどではありませんが、車内空間が広めです。
舵を切る前輪への荷重が少ないため、独特の操作感があります。スピンするとコントロールの立て直しが難しくなりますが、横滑り防止機能がついた車であればあまり気にならない可能性が高いです。
4WDの種類と特徴
4WDは、以下の3つの種類にわけられます。
・オンデマンド4WD
・パートタイム4WD
・フルタイム4WD
2WDと4WDが切り替わるタイミングなどによって区別されており、それぞれ走りやすい条件や路面状況が異なります。
一般的なのは、自動で2WDと4WDが切り替わる「オンデマンド4WD」方式です。
オンデマンド4WD
オンデマンド4WDは広く普及している一般的な4WDシステムです。基本的には2WDで走行し、必要なときに自動で4WDになる方式で、「スタンバイ式」と呼ばれることもあります。
走行状況に合わせて自動で切り替えられるため、4WDのなかでは燃費性能が高めです。
オンデマンド4WDはさらに2つの種類があり、タイヤの滑りを検知して4WDに変わる「パッシブ オンデマンド」と、電子制御で滑りを予知して切り替わる「アクティブ オンデマンド」に区分されます。
パートタイム4WD
パートタイム4WDの車は、運転者が手動で2WDと4WDを切り替えられます。走破性能が高いのが特徴で、スズキのジムニーなどオフロード車に使われることが多い方式です。
4WDモードではコーナーで「タイトコーナーブレーキング現象」が起こりやすく、乾燥した市街地は2WDで走る必要があります。
パートタイム4WD方式の車に乗っている方や、購入を検討している方は覚えておきましょう。
4WDで乾いた路面を思いきりカーブすると、ブレーキがかかったようになる現象です。旋回時、前後輪の回転差が生じてしまうことが原因で発生します。
フルタイム4WD
フルタイム4WDは、つねに4輪を駆動させる方式です。
センターデフと呼ばれる前後輪の回転数を調節する機構を備えているため、乾いた路面でもタイトコーナーブレーキング現象が発生しません。
電子制御化されたモデルは、走行状態や路面状態に合わせて駆動力を自動で調節します。
常時4輪を回転させるため燃費性能には比較的劣りますが、走行安定性の高さがメリットです。
まとめ
2WDと4WDの違いは、駆動するタイヤの数です。2WDは前方か後方どちらかの2輪が駆動し、4WDは4本のタイヤすべてが駆動します。
2WDは車両本体の価格も抑えられ、燃費性能にも優れているため市街地をメインで走るのに適しています。普段雪の降らない地域を走るのであれば、2WDがおすすめです。4WDはすべての車輪が駆動しスタックしづらいため、雪道や凍結路を走る機会が多いドライバーに向いています。
居住地や走行シーンに合わせて、2WDか4WDどちらにするかを選びましょう。また、駆動方式に関わらず、実際に試乗してみて走行性が気に入ったものを選ぶのもひとつの選択方法です。