自動車メーカーの象徴ともいえるエンブレムには、それぞれの歴史やこだわりが詰まっています。
街中で見かけたエンブレムが「あれ、どこの車だっけ……?」と、気になった経験がある人も多いのではないでしょうか。
今回は、普段何気なく見ている自動車のエンブレムを写真付きで解説します。
この記事でわかること
- ・国産車、輸入車のエンブレムの一覧表
- ・各エンブレムに込められたこだわりや意味
- ・同じメーカーの同車種でエンブレムが異なる特殊事情

おなじみのエンブレムから珍しいものまで一挙に紹介します!
目次
車のエンブレムとは?
車のエンブレムは、走りや安全性能に直接かかわるものではありませんが、車の「顔」ともいえる重要なパーツのひとつです。
エンブレムには「象徴」や「紋章」などの意味があり、エンブレムを見ればブランドや車種を特定できるという役割を担います。メーカーの歴史や価値、ブランドとしての誇りも込められたエンブレムに憧れや信頼性を感じるユーザーも多いでしょう。
エンブレムとよく混同されやすい「ロゴ」は、デザインが施された文字やかたちを指します。エンブレムのほうが、より象徴的な意味で使われています。
国産車のエンブレム
国産車のおもなエンブレムを写真で紹介します。
メーカー | エンブレム | 特徴 |
レクサス(トヨタ) | トヨタが展開する高級ブランド1989年に米国で誕生 | |
トヨタ | 1989年、会社創立50周年を機に現在のエンブレムへ | |
日産 | 2020年に約20年ぶりに変更されたエンブレム | |
ホンダ | 自動車はHONDAの頭文字、「H」をかたどったデザインバイクは翼を広げた独自のエンブレムを使用 | |
スズキ | 2003年から現在のエンブレムに頭文字の「S」が日本刀の鋭い切っ先をイメージされている | |
ダイハツ | ダイハツの頭文字「D」をかたどったエンブレム一部、独自のフロントエンブレムを採用する車種も | |
マツダ | マツダの頭文字「M」が羽ばたく様子をイメージしたもの | |
スバル | 6個の星があしらわれたエンブレムは「六連星(むつらぼし)」と呼ばれる | |
三菱 | 三菱グループのマークは創業者・岩崎弥太郎の家紋をベースに誕生した起源は1910年までさかのぼる |
レクサス

レクサスは1989年、アメリカで誕生したトヨタの誇る高級車ブランドです。日本に上陸したのは2005年で、それ以降、高級車としての地位を確立しています。
ロゴはLEXUSブランドの「L」をかたどったものが、長く使用されています。
トヨタ

トヨタの現在のエンブレムは、1989年に会社創立50周年を記念して発表されたもの。遠くからでも「トヨタのクルマ」だとわかる点を重視し、3つの楕円を左右対称に組み合わせたデザインが採用されました。
楕円のふたつの中心点は、ユーザーとトヨタの心のつながりを表現し、世界中でトヨタの認知度を高める役割を担っているともいえるでしょう。
日産

日産のエンブレムは2020年、立体的なデザインからフラットでシャープなものに変更されました。
「豊かな歴史とイノベーションの伝統とともに、未来へと舵を切る日産の姿を表現」したと説明されています。
ホンダ
ホンダの社名の頭文字「H」をかたどったデザインで知られていますが、これは自動車のもの。バイクは広げた羽をモチーフにしたデザインが使われています。
自動車のエンブレムを作る際には、創業者・本田宗一郎が三味線の音色に感銘を受けたことから、三味線の形を残そうとこだわったという逸話が残っています。
スズキ
スズキの「S」マークはSUZUKIの頭文字をとったもので、2003年から現行のエンブレムが使用されています。
エンブレムのデザインコンセプトは日本刀で、 立体的な峰を与えられたマークが日本刀の切っ先を思わせる鋭利なイメージを表現。「未来を切り開く強い意志」を示しています。
ダイハツ
ダイハツ=DAIHATSUの頭文字「D」がエンブレムに採用されています。
ダイハツは1907年に創立され国内で最も長い歴史を誇る自動車メーカーで、大阪の発動機が略されて「大発(ダイハツ)」になり、そのまま社名となりました。
2016年にトヨタの完全子会社となりましたが、現在もダイハツのエンブレムが使われています。
マツダ
「かもめマーク」などと呼ばれ親しまれているマツダのエンブレムは1997年から使用されています。
マツダの「M」が、未来に向けて羽ばたくイメージをもたせたデザインで、社章として制定された際に「自らをたゆまず改革し続けることによって、力強く、留まることなく発展していく」決意が込められたものです。
スバル

スバルのエンブレムは6つの星がつながっているマークで有名で「六連星(むつらぼし)」と呼ばれます。
すばる(昴)とは、おうし座のプレアデス星団のことで、肉眼で見える6つの星がエンブレムのモチーフとなっています。
三菱
三菱グループの象徴ともいえるスリーダイヤがそのままエンブレムに使われています。
三菱の創始者・岩崎弥太郎の家紋「 三階菱」と 土佐藩主・山内家「 三ツ 柏」を合わせたもので、 1910年には現在の三菱マークが定められました。
その他の国産車エンブレム
トラックやバス、その他の国産車のエンブレムを紹介します。
いすゞ自動車
いすゞ自動車は、トラックやバスといった商用車を製造している自動車メーカーで、21世紀初頭までは乗用車も製造していました。
現在は「ISUZU」の文字をロゴ化したシンプルなデザインがエンブレムに使用されています。
三菱ふそう
三菱ふそうトラック・バス株式会社は、ドイツ・ダイムラーグループに属し、トラックやバス、産業用エンジンの開発と製造を行います。
三菱が1930年代に生み出した乗合自動車「ふそう」の名前は、現在のエンブレムにも脈々と受け継がれています。
日野自動車

日野自動車は、トヨタグループでトラックやバスなど商用車を手掛けるメーカーです。
HINOの「H」で、未来に向けて挑戦し続ける活力と発展性を表現したエンブレムです。
光岡自動車
個性的な車を多く手掛ける光岡自動車のエンブレムは、紀元前に使用されていた車の象形文字がルーツになっています。
富山県の工場で、1台ずつこだわって製造される車には、ものづくりへの想いが込められているといえるでしょう。
輸入車のエンブレム
続いて、輸入車のエンブレムをまとめて紹介します。

次は輸入車だね。珍しいエンブレムもあるかな。
メーカー | エンブレム | 特徴 |
メルセデスベンツ(ドイツ) | 伝統的な「スリーポインテッドスター」は100年近く前から受け継がれている | |
BMW(ドイツ) | ドイツ・バイエルン州の旗の色、またはプロペラに由来されるという説のあるデザイン | |
フォルクスワーゲン(ドイツ) | Volks + Wagen の頭文字を上下に配列したデザイン | |
アウディ(ドイツ) | 4つの輪は、アウディを支える4つの企業の団結を表している | |
ミニ(BMW/ドイツ) | イギリス・ローバーからBMWが継承した高級小型車 | |
ポルシェ(ドイツ) | 中央の馬と盾型が印象的なエンブレム | |
ボルボ(スウェーデン) | スウェーデン生まれの頑強なボルボのエンブレムは鉄に由来する | |
プジョー(フランス) | エンブレムが変更されても、ライオンBがシンボルなのは一貫している | |
ランドローバー(イギリス) | 緑色のバックにメーカー名が書かれたシンプルなエンブレム |
メルセデスベンツ
メルセデスベンツのエンブレムは「スリーポインテッドスター」と呼ばれます。円に接する3つの点には、陸・海・空の各分野での成功への願いが込められています。
現在のデザインは、ダイムラー社とベンツ社が合併した1926年にできあがったものです。
BMW

円に十字型で青と白が配色されたBMWのエンブレムの起源には、2つの有力な説があります。
ひとつはプロペラを見立てたデザインに青空と雲をイメージしたとする説。ふたつ目は、BMWのルーツがドイツ・バイエルン州の旗の色に由来するという説です。
2020年3月にエンブレムデザインが新しくなりましたが、車体のエンブレムは1997年から使用されているデザインが継続して使われています。
フォルクスワーゲン
フォルクスワーゲンとはドイツ語で「民衆の車」という意味です。
エンブレムは頭文字の「V」と「W」を上下に並べたデザインで、2019年にはそれまでの立体的なものから、平面的でフラットなデザインに変更されました。
ただしVとWをあしらった伝統は、創業直後から変わっていません。
アウディ

アウディのエンブレムは、4つの輪が連なった「フォーリングス」です。
このデザインは1932年、アウディを含めた4社が合併する際にその団結を表すために採用され、新生アウディの象徴として長年親しまれています。
ミニ(BMW)
ミニ(MINI)は2001年、BMWによって誕生した高級小型車のブランドです。
もとはイギリスのローバー社が1959年から製造していた歴史ある車で、BMWが傘下に収めたあとシンボルの翼を取り入れた現在のエンブレムにしました。
2018年以降は、フォルクスワーゲンなどと同様に平面的な新しいデザインに変更されています。
ポルシェ

スポーツカーで知られるポルシェのエンブレムは、中央で躍動する馬が特徴的です。
ポルシェの本社があるシュツットガルト市の紋章「跳ね馬」と、ビュルテンベルグ州の紋章「盾」の形がモチーフになっています。
ボルボ

北欧・スウェーデンが生んだボルボのエンブレムは、その昔錬金術師が鉄を描く際に使ったマークが由来と言われています。
右上にある矢印も製鉄を意味し、頑強で寒冷地にも強いボルボの特徴を表しています。
プジョー
フランス・プジョーのエンブレムには、ライオンが描かれています。強さや鋭さの象徴として、19世紀中頃からライオンのエンブレムが多くの製品に描かれてきました。
2021年にライオンの全身を描いた姿から、横顔のアップに変更されています。
ランドローバー
ランドローバー(LAND ROVER)がメーカー名で、画像にあるレンジローバーは代表的な車種の名称です。エンブレムにはシンプルに社名が描かれ、背景の緑色が特徴的です。
オフロード向けの車両が有名で、ランドローバーは「大地を走り回る」という意味が由来となっています。
その他の輸入車エンブレム
これら以外の輸入車のエンブレムをまとめて紹介します。
メーカー名 | エンブレム |
アバルト(イタリア) | |
アルファロメオ(イタリア) | |
アストンマーティン(イギリス) | |
ベントレー(イギリス) | |
キャデラック(GM/アメリカ) | |
シボレー(GM/アメリカ) | |
シトロエン(フランス) | |
フェラーリ(イタリア) | |
フィアット(イタリア) | |
ジャガー(イギリス) | |
ジープ(アメリカ) | |
ランボルギーニ(イタリア) | |
ロータス(イギリス) | |
マセラティ(イタリア) | |
ルノー(フランス) | |
サーブ(スウェーデン) | |
テスラ(アメリカ) |

輸入車も中古で探すますよ!
特殊な事情があるエンブレム
一般的に同じメーカーであれば、車種が違っても統一したエンブレムが使われますが、例外もあります。
トヨタは車種によってエンブレムが異なる
トヨタの一部の車種では、独自のエンブレムをフロントにつけています。戦後、アメリカのGMが車種別にエンブレムをつけていたのを模倣したことが発端といわれています。
その後に欧州メーカーの統一エンブレムが主流になったものの、トヨタだけは長く車種別のエンブレムを続けました。
しかし近年はハリアー、シエンタ、ノアなどのように、オリジナルのエンブレムからトヨタ統一のエンブレムに移行する車種が増えてきています。
▼独自エンブレムを採用しているトヨタ車の例
車種 | エンブレム |
クラウン | |
アルファード | |
カローラ | |
カローラスポーツ | |
カローラアクシオ |
同じ車なのにエンブレムが異なる
まったく同じ外観の車でも、エンブレムだけが異なるケースもあります。これはOEMによって他社に車を供給された場合や、複数のメーカーによる共同開発車の場合です。
代表例は、ダイハツがトヨタに軽自動車を提供しているパターンです。
ブーン(ダイハツ)とパッソ(トヨタ)
トール(ダイハツ)とルーミー(トヨタ)
プリウスα(トヨタ)とメビウス(ダイハツ)
アルト(スズキ)とキャロル(マツダ)
セレナ(日産)とランディ(スズキ)
共同開発車の例も見てみましょう。
・ルークス(日産)とekスペース(三菱)
・デイズ(日産)とekワゴン(三菱)
・bZ4X(トヨタ)とソルテラ(スバル)
各メーカーの強みを活かしつつ、開発費や製造費を抑えられるため、最終的には消費者のメリットにもなります。
総在庫3,000台以上から
ぴったりの一台が見つかる!
ご相談・ご質問だけでもお気軽に!
よくある質問
車のエンブレムはABS樹脂と呼ばれるプラスチック素材に、銅やクロム、ニッケルなど金属のめっき加工が施されています。
プジョーのライオンやポルシェ、フェラーリの馬など、輸入車のエンブレムには動物がシンボルとして描かれています。メーカーによって理由はさまざまですが、自動車の強さや速さを象徴する存在として動物が選ばれた背景があるようです。
エンブレムを外しても車検への影響はありません。ただし、塗装が剥がれたり、エンブレムを取りつけていた穴が露出してしまう可能性があります。サビなどの原因になるので、注意が必要です。