高齢者の運転による交通事故のニュースをきっかけに、高齢の家族に免許返納を勧めようと考える方は少なくありません。しかし、日常的に車を使用している場合は、免許返納により交通手段が減ることもあり、返納に対して前向きに検討できないかもしれません。
免許返納は事故のリスクを減らせるだけでなく、返納後の生活のサポートに役立つさまざまなメリットが存在します。
この記事では、免許返納により得られるメリットを詳しく紹介します。デメリットや注意点も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- ・免許返納のメリット、デメリット
- ・免許返納手続きの流れと注意点
- ・身分証の代わりになる「運転経歴証明書」の申請方法

免許返納はメリット・デメリットを理解し納得したうえで、ライフスタイルの変化として受け入れることが大切です。
目次
自動車運転免許の自主返納制度とは?
自動車運転免許の自主返納制度とは、有効期限が残っている運転免許証を本人の意思で返却できる制度のことです。
運転免許が不要になった場合や、加齢にともなう身体能力の低下、運転に不安を感じるようになったときは、免許返納を検討するタイミングです。「何歳までに返納する」といった決まりはありませんが、70歳を超えると免許更新時に高齢者講習の受講が義務付けられています。
免許返納後は、免許証の代わりに身分証明書として使える「運転経歴証明書」を申請できます。

運転経歴証明書については「運転免許証に代わる「運転経歴証明書」とは?」の見出しで詳しく紹介しています。
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免許返納をするメリットや特典の種類を紹介
自治体や民間企業では、免許返納をした65歳以上の方を対象に、さまざまな特典が用意されています。地域によって特典の内容は異なるので、以下のリンクから自分の居住地域の特典を確認してみましょう。
北海道 |
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東北地方 |
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関東地方 |
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中部地方 |
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関西地方 |
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和歌山県※ |
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中国地方 |
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四国地方 |
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九州地方 |
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※和歌山県は現在未公表。
例としては以下のような特典があります。
- 公共交通機関の割引がある
- 生活用品の代金や配送料の割引がある
- 車の査定で特典を受けられる場合がある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
公共交通機関の割引がある
バス、電車、タクシーの運賃の割引など、公共交通機関の割引特典があります。免許返納後は移動手段として「車」の選択肢がなくなるので、こういった公共交通機関の割引を活用するとよいでしょう。
生活用品の代金や配送料の割引がある
生活用品や配送料の割引サービスを行う企業もあります。免許返納により車を運転できなくなると、買い物などで重たいものを持って帰ることが難しいため、配送サービスを利用する機会が増えます。
メガネや補聴器、電動車いすなど、老後必要となる生活用品の割引や、遺言・相続など、終活に関わる相談費用の割引も存在します。
車の査定で特典を受けられる場合がある
免許返納後、乗らなくなった車を譲る人がいない場合、中古車販売店に査定に出す選択もあるでしょう。業者によっては、免許返納による売却の場合に査定金額の割増やプレゼント特典を受けられるケースがあります。
買取に出すことで臨時収入を得られるうえ、業者によっては特典がもらえるので、ディーラーに下取りに出すより多くのメリットを得られる可能性があります。

免許返納により車が不要になった場合は、中古車販売店への買取査定を検討してみましょう。
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免許返納をするデメリット

免許返納は、身内から勧められたことをきっかけに検討するケースが多いです。しかし、家族に免許返納をしてほしい気持ちがあっても、無理強いするのではなく、自ら「返納したい」と思ってもらうことが大切です。
納得したうえで免許返納を行うためには、デメリットも理解しておく必要があります。ここでは、以下3つのデメリットを解決策とあわせて紹介します。
- 交通手段が減る
- 外出の機会が減る
- 運転免許証が身分証として使えなくなる
交通手段が減る
免許返納により交通手段に「車」という選択肢がなくなります。これまで車で気軽に移動できていたところが、公共交通機関や自転車、徒歩での移動となるため、遠くへ行くことが億劫になるかもしれません。
免許返納による公共交通機関の割引制度を活用して、バスや電車での移動に慣れていきましょう。車がないことで歩く機会が増えるので「運動不足の解消になる」など、前向きに捉えることも大切です。
外出の機会が減る
免許返納後は車がないとことを不便に感じて、外出の機会が減ってしまう可能性があります。徒歩や自転車だけの行動範囲だと飽きてしまい、積極的に外出しなくなることもあるでしょう。
外出が減って運動不足になったり、人に会う機会が少なくなり孤独を感じたりすると、認知症の発症率を高めてしまいます。
認知症を予防するためにも、朝散歩をしたり、地域のコミュニティ活動に参加したりするなど、外出の目的や習慣を作ることが大切です。
運転免許証が身分証として使えなくなる
身分証のひとつとして使っていた運転免許証がなくなるため、免許証以外に身分証明書となるものを持っていない方は、不便に感じるかもしれません。
しかし、免許返納後は運転免許証の代わりになる「運転経歴証明書」を申請できるので、すぐに解消できるデメリットといえるでしょう。
運転免許証に代わる「運転経歴証明書」とは?
運転経歴証明書とは、運転免許証を自主返納した方のみが申請できる証明書で、公的な身分証明書として使えます。免許の取り消しを行った日から過去5年間の運転経歴を証明するものでもあり、運転免許証の情報が一部引き継がれます。
免許返納の特典を利用する際にも、運転経歴証明書が必要となるケースが多いです。
自動車運転免許証の返納手続きの方法

ここでは、返納手続きの方法を詳しく解説します。
居住地域の警察署で免許返納の手続きを行う
免許返納の手続きは、警察署または運転免許センターで行います。持ち物は運転免許証と印鑑のみで、返納のみの場合、費用はかかりません。現地で「運転免許取消申請書」を記入し、提出します。
・運転免許証
・印鑑
運転免許証が手元にない場合は、運転免許センターでの手続きとなり、運転免許証以外の身分証明書(保険証・年金手帳など)が必要です。
免許返納と同時に「運転経歴証明書」を申請する
免許返納と同時に「運転経歴証明書」の申請が可能です。返納とは別の日でも手続きは可能ですが、同日であれば何度も足を運ぶことなくその日のうちに手続きが完了します。
申請に必要なものは以下のとおりです。
・運転経歴証明書交付申請書(窓口で取得可能)
・返納する運転免許証
・顔写真(縦3cm×横2.4cm)1枚
・手数料1,100円

住所等の記載事項に変更がある場合は、変更を証明する書類(住民票やマイナンバーカードなど)も必要です。
なお、交付申請可能な期間は運転免許の取り消しを行った日から5年以内です。後日申請を行う場合は、期限を過ぎてしまわないように気をつけましょう。
家族が代理で返納するには委任状が必要
家族が代理で返納するには委任状が必要になります。
・委任状
・代理人の住所・氏名・生年月日が確認できるもの(運転免許証、マイナンバーなど)
・申請者と代理人の関係性を証明できる書類(戸籍謄本など)

委任状は居住地域の警察署のWEBサイトでダウンロードできる場合もあります。
免許返納の手続きにおける注意点
免許返納の手続きでは、以下の点に注意しましょう。
それぞれ詳しく説明します。
警察署まで自分で運転して行かない
免許返納後は無免許の状態となるため、警察署まで車を運転して行ったとしても、運転して帰ることができません。免許返納に行く際は、公共交通機関を利用するか、家族などに送迎してもらう必要があります。
自動車保険は家族に引き継げる場合がある
自動車保険は、同居の家族であれば等級を引き継ぐことが可能です。家族に車を譲る場合、新たに自動車保険を契約するよりも継承したほうが保険料を抑えられる可能性があります。
すぐに引き継ぎを行わないのであれば、保険会社に「中断証明書」を発行してもらうことで、自動車保険解約後も10年間等級を維持できます。

家族であっても別居している場合は等級の引き継ぎはできないので注意しましょう。
車の名義変更や売却を済ませておく
車の名義変更や売却は、免許があり運転できるうちに手続きを済ませたほうがスムーズです。免許返納してから車に関する手続きをするとなると、移動手段が減るため手間がかかるかもしれません。
免許返納後に車が不要になることがわかっている場合は、車の売却も検討しましょう。
よくある質問
免許返納をすると、公共交通機関利用時の割引や、生活用品の割引など、自治体や企業ごとに特典を受けられます。
車を運転できなくなり交通手段が減るため、外出の機会が減ってしまう可能性があります。認知症を予防するためにも、外に出る習慣をつくることが大切です。
自治体や民間企業によってもらえるものや、受けられる特典が異なります。たとえば、バスやタクシーなどの公共交通機関の利用や生活用品の割引、サービスの利用券や商品券をプレゼントする企業もあります。
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