ミッションオイルとは、トランスミッションに使われるギア同士が滑らかに動くようにするオイルです。このオイルを交換しないと、ギアがすり減るスピードが早くなったり、ギア同士が擦れて異音が発生したりします。
本記事では、ミッションオイルの種類や交換時期、交換にかかる費用を紹介します。ミッションオイルを選ぶ際に見るべきポイントも解説しているので、そろそろ交換時期かなと思っている方は、ぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
- ・ミッションオイルとは何か
- ・ミッションオイルの種類
- ・ミッションオイルの交換時期
- ・ミッションオイルの交換方法と費用
- ・ミッションオイルの選び方
目次
ミッションオイルとは?
ミッションオイルとはギアオイルとも呼ばれるオイルで、車のギア同士の潤滑剤としてギアチェンジをスムーズに行うためのオイルです。正式名称は「トランスミッションオイル」といいます。
車のギアに油の膜をはることで、「ギアのすり減り」や「ギア同士がぶつかることによる異音」といった現象を防ぎます。
ミッションオイルの種類
トランスミッションオイルには以下の種類があり、車種や効果がある部分によって必要なオイルが異なります。自分の車に必要なのはどのオイルか、特徴を把握しておきましょう。
ミッションオイル
→MT車のギアのなかでもトランスミッションに効果があるオイル。
デファレンシャルオイル
→車がスムーズにカーブを曲がるのに必要なギア(デファレンシャルギア)の滑りをよくするためのオイル。
ATF(オートマチック・トランスミッション・フルード)
→オートマ車のトランスミッションに使われるオイル。
エンジンオイルとの違い
エンジンオイルとは「エンジン(パワーユニット)の動きをサポートするオイル」です。ミッションオイルとは使用する部分が異なり、潤滑・冷却・清浄・防サビ・密封という5つの効果を持っています。

エンジンオイルについては、本サイトの「車のオイル交換はいつする?」の記事で解説しているので、詳しく知りたい方は参考にしてください。
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ミッションオイルの交換時期の目安
ミッションオイルの交換時期は、使用の頻度や状況によって異なります。
メーカーや交換業者が推奨する目安は以下の通りです。
ミッションオイル | ATF | |
自動車メーカー推奨 | 5万km | 5〜10万km |
交換業車推奨 | 2〜3万km | 2〜3万km |
MT車(ミッションオイル)の場合
ミッションオイルの交換においては、自動車メーカーの多くは「走行距離5万kmごと」、交換業者は「走行距離が2〜3万km超えた段階」での交換を推奨しています。
ただし、ここで推奨されている交換時期はあくまでも目安で、悪路での走行を頻繁に行うなどの使用状況では、目安未満の走行距離で異常が生じることもあります。
AT車(ATF)の場合
ATFの交換は、交換業車の多くが「走行距離2〜3万kmごとまたは2年ごと」を推奨しています。
メーカーの推奨は「走行距離5〜10万km」で、メーカーごとの指標は以下のようになっています。
▼ トヨタ
砂利道などの過酷な環境(シビアコンディション)での使用の場合100,000kmごと
▼ ホンダ
初回は80,000km、2回目以降は60,000kmごと
▼ 日産
40,000kmごと
▼ マツダ
車種によって交換が必要な場合と不要な場合あり
▼ ダイハツ
100,000kmごと
▼ スズキ
40,000kmごと(シビアコンディションの場合は
30,000kmを推奨)
▼ スバル
40,000kmごと(一部の車両では異なる)
上記の目安は街中での走行を想定したもので、悪路などの過酷な状況における走行では早期に異変が生じる可能性もあります。異変が生じた場合は、すぐに交換を検討しましょう。

車の説明書に交換の目安が書かれている場合がほとんどなので、チェックしましょう。
ミッションオイルの交換方法と費用の目安
ミッションオイルは交換方法によって費用が異なります。
自分で交換する方法と、業者に交換依頼する方法の2つがあり、それぞれの手順と費用を解説します。
自分で交換した場合の費用 | 業者に依頼した場合の費用 |
MT車:1,500〜5,000円(※) | MT車:10,000〜30,000円 AT車:5,000〜30,000円 |
※AT車(CVTを含む)の場合は自分での交換は非推奨
自分で交換する
ジャッキーなどの交換用の道具を持っている場合は、自分での交換も可能です。交換にかかる費用は、ミッションオイルの購入費用のみ(道具代は除く)で「1,500〜5,000円くらい」になります。

AT車のミッションオイルにあたるATFの場合は、最初から入っているオイルと同じものでないと故障につながりかねないため、業者(カー用品店・ディーラーなど)への依頼が推奨されています。
業者に依頼する
交換業者によって費用は異なりますが、カー用品店・ディーラーなどに依頼して交換してもらう場合、だいたい「1万〜3万円」くらいです。

依頼時の混雑具合にもよりますが、交換にかかる時間は約20分くらいでしょう。
ミッションオイルを選ぶときに見るべきポイント
ミッションオイルは使用状況や車種によって合うものが異なるので、自分で交換する場合は以下の3つのポイントを押さえて選びましょう。
規格
まず、見るべきポイントは、「GL-」ではじまる規格です。
GL-1〜GL-6まであり、それぞれの対象は以下のようになっています。
GL-1 ▶︎ 自動車で使用されることはほとんどない
GL-2 ▶︎ 現在ほとんど使用されていない
GL-3 ▶︎ 一部の乗用車にのみ使用される
GL-4 ▶︎ 一般的にMT車で広く使用される
GL-5 ▶︎ MT車だけでなく、過酷な条件で使用される
デファレンシャルギアなどにも使用される
GL-6 ▶︎ 現在の自動車でこの規格を求められることはない

自動車の使い方にもよりますが、GL-4かGL-5のものを選ぶのが一般的です。不安な場合は、販売店の店員さんに相談しましょう。
粘度
2つ目のポイントは、粘度です。
ミッションオイルの粘度は「◯W△」という、前のWがつかない数字と後ろのWがつく数字で表記されます。
Wがつかない数字は100℃のときにどれくらいの粘度になるか、つく数字は最低何℃まで使用できるかを示し、以下のような基準になっています。
Wがつかない数字 | 粘度 |
65 | 3.8以上5.0未満 |
70 | 5.0以上6.5未満 |
75 | 6.5以上8.5未満 |
80 | 8.5以上11.0未満 |
85 | 11.0以上13.5未満 |
90 | 13.5以上18.5未満 |
110 | 18.5以上24.0未満 |
140 | 24.0以上32.5未満 |
190 | 32.5以上41.0未満 |
250 | 41.0以上 |
Wがつく数字 | 使用可能な最低温度 |
70W | −55℃ |
75W | −40℃ |
80W | −26℃ |
85W | −12℃ |
粘度は以下の基準で選びましょう。
- 排気量が大きい車に乗る場合や過酷な運転をする場合は粘度が高いもの
- 街乗りなどの通常の道での走行がメインの場合は、粘度が低いもの
ベースオイル
最後のポイントは、ミッションオイルの元となる「ベースオイル」です。「全合成油・鉱物油・部分合成油」の3種類があり、それぞれの特徴は以下のようになっています。
全合成油(化学合成油)
→原油を精製し、不純物をできる限り取り除いた高純度のオイルです。劣化しにくい・酸化しづらい・泡が立ちにくい・残留炭素(石油を蒸発・加熱分解した後に残るコークス状の炭化残留物)が残りにくいといった特徴がある一方、価格が高価になるといったデメリットもあります。
鉱物油
→従来から使用されてきたオイルです。ほかのオイルと比べて、劣化が早い、汚れやすいなどの点はデメリットですが、価格が低価というメリットもあります。
部分合成油
→鉱物油と全合成油を混ぜたオイルです。鉱物油に2割以上全合成油をミックスすることで、ある程度の品質と性能を担保しつつ、コストが抑えられています。
よくある質問
ギアオイルとも呼ばれるオイルで、MT車のギア同士の潤滑剤として、ギアチェンジをスムーズに行うためのオイルです。正式名称は「トランスミッションオイル」といいます。ギアに油の膜をはることで、「ギアのすり減り」や「ギア同士がぶつかることによる異音」といった現象を防ぎます。
車種や使用状況によって異なります。MT車では「自動車メーカー推奨:5万km、交換業車推奨:2〜3万km」、AT車では「自動車メーカー推奨:5〜10万km、交換業車推奨:2〜3万km」が目安となっています。
A3.交換方法には「自分で交換」か「交換業者に依頼」があります。自分で交換する場合はオイル代のみなので「1,500〜5,000円」。交換業者に依頼する場合は、MT車で「10,000〜30,000円」、AT車で「5,000〜30,000円」。ただし、オイル代や交換費込みの値段は目安なので、依頼する販売店や交換業車確認が必要です。
「規格」「粘度」「ベースオイル」の3つです。使用状況や予算にあわせて選びましょう。ポイントごとの見方はこちらで詳しく解説しています。
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