残クレ(残価設定型クレジット)とは新車の購入方法のひとつです。数年後の買取保証額を残価として設定し、車両価格から残価を除いた残りの金額を支払う方法です。残価を差し引いた金額を分割するので、通常のカーローンと比べて月々の支払額を軽減しやすくなります。
残クレは一見するとお得な購入方法ですが、利用にあたってはデメリットや注意点もあります。本記事を参考に、自分に合った購入方法を検討してみてください。
この記事でわかること
- ・残クレの仕組み
- ・残クレのメリットとデメリット
- ・残クレが向いている人と損する人
目次
残クレ(残価設定型クレジット)とは

残クレとは、数年後の買取保証額(購入車種の何年か後に見込まれる査定額)を残価としてあらかじめ設定し、車両価格から残価を除いた金額を支払う方法です。おもに新車の購入方法のひとつであり、一部の中古車購入にも対応しています。
契約時に設定される残価は、返済期間や市場での価値に応じて決まります。
たとえば、200万円の車を24回払いの残クレで購入し、2年後の残価が80万円だった場合、その80万円は24回目の返済に据え置かれます。23回目までは、残りの120万円を分割して月々返済していきます。


残価の設定金額や契約期間は、車種や販売店によって異なるので事前に確認が必要です。
カーローンの場合は車両価格全体に対して分割払いになりますが、残クレの場合は車両価格から残価を引いた金額を分割で返済します。そのため、月々の返済額を抑えやすいのが魅力です。
残クレの返済後はどうなる?
残クレにて返済が終わったあとは、以下3つの選択肢のなかから自分に合ったものを選択します。
- 車を返却し、新しい車に乗り換える
- 車を返却する
- 残価分を返済して、乗り続ける
「車を返却し、新しい車に乗り換える」「車を返却する」を選択すれば、基本的に月々の支払い以上のお金は発生しません。3つ目の「残価分を返済して乗り続ける」を選択した場合は、契約時に設定した残価を一括あるいは分割で支払うことになります。

「残価分を返済して乗り続ける」は、完全に自分の車にするということです。その車両の返却義務がなくなります。
残クレとカーリースの違い
カーリースとは、契約満了時の買取保証額を残価として設定し、残価を除いた金額を月々のリース料金として支払うものです。残クレはローンですが、カーリースはローンではない点が大きな違いです。
そのほかの違いは、以下の通りです。
残クレ | カーリース | |
概要 | 車両価格から残価を差し引いた価格を契約月数で分割し、返済する | 車両価格から残価を差し引いた価格を契約月数で割り、月々のリース料金を支払う |
月額の支払いに含まれる料金 | 車両代金と利息のみ | 車両代金 各種税金 保険料 車の登録手数料 サポート料など |
車の所有者 | ディーラー・信販会社など | リース会社 |
残クレの返済では、月々の返済金額に加えて利息を上乗せして返済します。一方のカーリースは、あくまでレンタルであるため利息の支払いがありません。契約者がリース会社に「使用料」として月額料金を支払います。
カーリースの場合、月額料金のなかに車両代金や自賠責保険料などの各種税金、車の登録手数料、サポート料などが含まれています。残クレの場合は車両代金と利息しか含まれていないので、各種税金や保険料などは別途支払う必要があります。
残クレのメリット

残クレのメリットは、以下の3点です。
月々の返済額が減る可能性がある
残クレは、車両価格から残価を引いた金額を分割で返済します。そのため、車両価格全体に対して分割払いにする一般的なカーローンよりも、月々の返済額を抑えられる可能性があります。手元にお金が充分にない場合でも、新車を購入する選択が可能です。
あらかじめ査定額が保証されている
一般的に査定額は、査定時の走行距離や年式、市場での人気度のほか、車の状態によって価格が左右されます。残クレの場合は契約時に査定額が決まるので、数年経っても変動することがありません。

もし数年後にその車種の市場価値が下がっていても、契約上、査定額が下がることはないのです。
ただし、返却時にキズやヘコミがあったり、規定以上の走行距離を走ったりすると、保証の対象外となります。保証条件を満たせない場合は、追加料金が請求される可能性もあるので注意が必要です。
新車に数年で乗り換えできる
残クレでの返済が完了し、車をディーラーや販売店に返却すれば、すぐに新たな車に乗り換えが可能です。一般的に残クレは3年、5年といった短い期間で契約をするので、その期間を終えたら新車に乗り換えできます。

常に最新の車に乗りたい方にぴったりです。
なお、もし「残クレの返済完了後も乗り続けたい」と思ったら、残価を一括または分割で支払い、購入することも可能です。
残クレのデメリット

残クレのデメリットは、以下の5点です。

残クレのデメリットや注意点も知ったうえで、自分に合った購入方法を検討しましょう。
利息の総支払額が膨らむ可能性がある
残クレはローンなので、月々の返済時には元金(残価を除いた金額)+利息を支払います。残クレはカーローンより月々の返済額を抑えやすい点はメリットですが、返済期間を伸ばせば、そのぶん利息の負担が増えるので注意しましょう。
また、「残価分を返済して、乗り続ける」を選択し、残クレを返済後に再度カーローンを組んだ場合、初めからカーローンを組む場合と比べて利息の総支払額が膨らむ可能性があります。このように、残クレはお得に車を購入できる手段とは一概にいえないので、注意しましょう。
車を好きなようにカスタマイズできない
残クレで購入した場合は車の所有者がディーラーなどの販売店となるため、カスタマイズなどが制限されます。内装・外装を変更した場合のほか、違法改造や事故の修復歴があった場合は、追加料金がかかるので注意しましょう。
月間走行距離が制限される
残クレを利用する場合、基本的に月間の走行距離が1,000km、1,500kmなどと制限されます。これは走行距離が多くなることで、その車の残価が低くなるのを防ぐためです。

車通勤で長時間運転する方やドライブが趣味な方は、指定の距離を守ることに対してストレスを感じるかもしれません。
指定の走行距離を超えた場合、超過走行料金が請求されます。
追加料金が請求される可能性がある
指定された月間走行距離を超えていたり、返済後に内装・外装にキズやヘコミがあったりした場合は、追加料金を請求される可能性があります。そのため、「月々の支払いが安いこと」を理由に残クレを選んでも、最終的にはお得にならないケースもあるので注意しましょう。

契約期間中の車の扱い方には充分注意が必要です。
人気車種は残価より価値が高くなる場合がある
残クレは下取り価格が保証されている点がメリットであるものの、中古車相場で人気の高い車種は残価以上の価値になることがあります。もし残クレの完済時に、その車が中古車市場で価値が高くなっていても、残価以上の金額にはなりません。
人気車種を購入する場合は、残クレではなく通常のカーローンで購入し、都合のよいタイミングで売却したほうがお得になる可能性があります。
【注意】残クレを組む前に検討しておきたいこと
残クレを組む前には以下の3点を確認し、自分の車の利用頻度や乗り方にあわせて検討してみましょう。
追加料金の条件を確認する
残クレの返済が終わって「乗り換え」や「返却」を選択するときに、走行距離や車の状態(キズやヘコミ、カスタマイズ)によっては、追加料金を請求される可能性があります。
返済後に想定外の料金が請求されないよう、発生する追加料金や保証条件を入念に確認しておきましょう。残クレの条件が自身の乗り方と合わない場合、残クレ以外の購入手段を検討してみてください。
走行距離を予測しておく
通勤や通学などで日常的に長距離走行を予定している場合は、あらかじめ大体の月間走行距離を予測しておくと安心です。残クレの場合、指定の月額走行距離を超えると追加料金が請求されてしまいます。決められた月間走行距離以内で使用できるのであれば、ストレスなく運転できるでしょう。
各ローンの金利を比較する
残クレの金利は、ディーラーや販売店によって多少の差があります。また、ディーラーより金融機関のカーローンで組んだほうが適用される金利が低い傾向もあります。販売店から提示された内容でローンを組んでも問題ありませんが、さまざまな選択肢を見ながら、適した残クレやカーローンを選択しましょう。
残クレが向いている人・損する人の特徴

残クレは新車をお得に購入するためのひとつの手段ですが、本人の運転頻度や乗り方次第では損をしてしまう可能性があります。残クレが向いている人、向いていない人の特徴を見ていきましょう。
残クレが向いている人
残クレでの車の購入が向いている人は、以下の通りです。
・充分なお金がないが、新車に乗りたい人
・数年後には車を手放したい人(転居、乗り換えなど)
・定期的に新車へ乗り換えたい人
・「走行距離が短い」「事故のリスクが低い」など追加料金が発生しにくい人
残クレで損する人
残クレで購入すると損をしてしまう可能性が高い人は、以下の通りです。
・一括や通常のローンで車が買える人
・通勤や週末の利用で走行距離が長い人
・車のカスタマイズが好きな人
・運転初心者など事故のリスクが高く、追加料金が発生しやすい人

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よくある質問
残クレとは、数年後の買取保証額(購入車種の何年か後に見込まれる査定額)を残価としてあらかじめ設定し、車両価格から残価を除いた金額を支払う方法です。おもに新車購入方法のひとつであり、一部の中古車購入にも対応しています。
残クレのデメリットは、以下の5点です。
- 利息の総支払額が膨らむ可能性がある
- 車を好きなようにカスタマイズできない
- 月間走行距離が制限される
- 追加料金が請求される可能性がある
- 人気車種は残価より価値が高くなる場合がある
残クレのデメリットの詳細は「残クレのデメリット」をチェック
メーカーごとの残クレの制度は、以下の通りです。
金利 | 契約期間 | 走行距離の制限 | |
トヨタ | 販売店によって異なる | 基本3年 (販売店によって異なる) | 販売店によって異なる |
ホンダ | 3.5〜3.5% | 3年、4年、5年 | 月間1,000km以下 または月間1,500km以下 |
マツダ | 2.99% | 3年、4年、5年 | 月間1,000km以下 または月間1,500km以下 |
ダイハツ | 1.9〜4.9% (販売店によって異なる) | 3年、5年 | 3年間で40,000km 5年間で60,000km |
日産 | ー | 3年、4年、5年 | 月間1,000km以下 または月間1,500km以下 |
スズキ | 軽自動車3.9%登録車2.9% | 3年、4年、5年 | 3年間で40,000km 4年間で50,000km 5年間で60,000km |
メーカーごとに保証条件や年数、金利が異なるので、契約前に必ず確認しましょう。
参考:
(トヨタ)残価設定型プラン | トヨタ自動車WEBサイト
(ホンダ)残価設定型クレジット(残クレ)|Honda
(マツダ)マツダ|クレジットプラン
(ダイハツ)ワンクレ(ワンダフルクレジット)
(日産)残価設定型クレジットとは | 株式会社日産フィナンシャルサービス
(スズキ)残価設定クレジット「かえるプラン」 | スズキファイナンス株式会社
残クレのほかに、車を一定期間レンタルするカーリースという選択もあります。カーリースは、契約満了時の買取保証額を残価として設定し、残価を除いた金額を月々のリース料金として支払うものです。カーリースは、契約者がリース会社に「使用料」として月額料金を支払います。カーリースは残クレと同様に利用上の注意点や条件があるものの、月額料金のなかに車両代金や各種税金やサポート料などが含まれています。
また、新車ではなく中古車を購入するのもひとつの手段です。中古車なら、希望車種を新車より100万円以上も安く手に入れられるケースもあり、年式が新しくて状態のよい車両を購入できる可能性もあるでしょう。中古車なら選択肢も豊富なので、自分に合った一台が見つかりやすいです。
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