法定点検とは、安全かつ快適に走行できるよう車の状態を細かく確認することで、車検と同様に運転者の義務となっています。受けないことによる罰則はありませんが、受けておけば不備や故障による事故やトラブルを未然に防ぐことが可能です。
このほかにも、法定点検の受検を証明することで保証が受けられたり、売却する際に車が高く売れたりと、さまざまなメリットもあります。
この記事でわかること
- 法定点検の概要と種類
- 法定点検と車検の違い
- 法定点検が必要な理由
目次
法定点検とは

法定点検(定期点検)とは、車が故障なく快適に走行できるよう、不備や故障がないかを確認するための点検です。法定点検は、道路運送車両法 第48条(定期点検整備)によって受検が義務付けられています。自家用乗用車の場合、1年おきに受ける12か月点検と、2年おきに受ける24か月点検があります。

法定点検は、故障やトラブルを回避するうえで必要不可欠です。
法定点検と車検の違い
24か月点検は、車検と同じタイミングで受けるのが一般的であるため、法定点検と車検と同じものと勘違いしている方も多いです。しかし、法定点検と車検は目的・内容が全く異なります。
法定点検:本来の走行性能を維持し、故障や不具合がないかを確かめる検査
車検:車が保安基準を満たしているかを確かめる検査
車検で考慮される「保安基準」は、道路運送車両法によって定められています。具体的には車体のサイズや各種装置、排気ガスの基準などが記載されており、車検ではこれらの基準を満たしているかがチェックされます。車の不備や故障を見つける点検ではないため、車の安全性を保つためには車検だけだと不十分でしょう。

車検の場合、ブレーキパッドの減り具合やタイヤの状態などは確認されません。
一方、法定点検では車の状態や各種部品まで細かく確認します。その車が本来もつ快適な走行性能を維持するためには、法定点検や日常的な点検が不可欠だといえます。
法定点検をしなくても罰則・罰金はない

法定点検は道路運送車両法 第48条(定期点検整備)によって定められた運転者の義務ですが、自家用乗用車の法定点検をしなくても罰則や罰金はありません(事業用車両は罰金あり)。
24か月の法定点検は車検と同時期であるため受ける方が多いですが、車を所持して1年目が経った頃に行う12か月法定点検は受けない方もいるようです。
法定点検には罰則がないものの、車検だけではカバーできない車の状態を点検・整備できます。運転者や車に乗る家族や友人の安全のためにも、法定点検は必ず受検しておきましょう。

車検は受けないと罰則があるので注意してください。車検切れの車で公道を走行した場合、30日の免停処分、違反点数6点、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。
法定点検の必要性

法定点検は罰金や罰則はないものの、運転者の義務として定期的に受けることが大切です。法定点検を受ける必要性は、以下のとおりです。
車のトラブルを未然に防げる
整備不良や不具合による車のトラブルを防げるのがメリットです。法定点検では、細かい項目に沿って車の状態を確認したうえで点検内容を記録簿に残します。車の状態や車の各消耗部品の劣化度合いを確認できるので、適切な交換時期を見定められるでしょう。

1年で部品の劣化が進むことも考えられるので、1年おきにプロの整備士に状態を見てもらえば安心して運転できるでしょう。
事故で運転者の責任が軽減される可能性がある
法定点検を受けたにもかかわらず整備不良・故障などがきっかけの事故が発生した場合、ドライバーの法的責任が軽減される可能性があります。法定点検を受けていたか否かで、ドライバーに問われる責任割合が異なります。
見方を変えれば、法定点検を受けずに事故を起こし、整備不良だった場合には、重い罰則が課せられることがあるでしょう。
故障時に保証が受けられる可能性がある
法定点検を受けていれば、点検項目に該当する箇所の不具合や故障が起きた場合に保証が受けられる場合があります(運転者本人の重過失は除く)。万が一の故障でメーカー保証を受けられれば、修理費用を大幅に抑えられるでしょう。
査定価格が上がる可能性がある
下取りや売却の際に、法定点検を受けて日頃からメンテナンスをしていることを証明できれば、車が高値で売れやすくなります。同じ年式・走行距離でも法定点検を確実に受けている車のほうが安心感があるためです。
ただし、査定価格を上げるためには、点検内容や修理内容を記録した「点検整備記録簿」が必要です。過去の整備点検の履歴と車の状態を証明する根拠となるので、点検整備記録簿は確実に保管しておきましょう。
法定点検の種類

法定点検には、以下4つの種類があります。
・3か月点検
・6か月点検
・12か月点検(1年点検)
・24か月点検(2年点検)
自家用乗用自動車(普通車・軽自動車)の場合、上記のうち法定12か月点検と法定24か月点検の受検が義務化されています。
乗用車が受ける12か月点検、24か月点検の詳細は以下のとおりです。
▼12か月点検、24か月点検の詳細
12か月点検 | 24か月点検 | |
時期 | 12か月(1年おき) | 24か月(2年おき) |
費用 | 1〜3万円 | 車検とあわせて10万円ほど |
所要時間 | 2、3時間 | 車検とあわせて1〜2日ほど |
点検項目 | ・パワーステアリング装置 ・ブレーキ ・ペダル ・駐車ブレーキ機構 ・ホースおよびパイプ ・ホイール ・ランスミッション ・点火装置 などの合計26項目 | ・ハンドル ・ギヤ ・ボックス ・ブレーキ ・ドラム ・電気配線 ・燃料装置 などの合計56項目 |
24か月点検は12か月点検よりも詳細な部分まで点検をするので、点検項目が多くなっています。法定点検の所要時間や費用は依頼する店舗によっても異なるので、あらかじめ確認しておきましょう。

自家用の中小型トラックやレンタカーは6、12か月ごと、事業車用(タクシー、バス、トラックなど)や自家用の大型トラックなどは3、12か月ごとに法定点検を受けることが義務付けられています。
法定点検はどこでやる?

法定点検を行う方法は、業者に依頼する方法と自分でやる方法の2通りです。最も一般的なのは、国の認証を受けた業者に依頼する方法です。プロの整備士が見てくれるので、点検漏れや整備不良などの心配を軽減できるでしょう。
・ディーラー
・民間の整備工場
・カー用品店
・ガソリンスタンド
・車検専門店
法定点検は、自分で行うことも可能です。その場合は自身で点検項目に沿って点検作業を行います。ただし、法定点検を正しく実施するには相応の知識と技術が必要なので、車の知識のない方が行うのは困難でしょう。
また、自分で点検をした場合、国の認証を受けた業者で法定点検をした場合にのみ与えられる「ダイヤルステッカー」が支給されません。ダイヤルステッカーは点検した年によって色が変わり、次回の点検がいつ頃になるかが記載されています。ダイヤルステッカーがないと認証を受けた業者で法定点検を受けたことを示すことができないので、ご注意ください。
よくある質問
法定点検は道路運送車両法 第48条(定期点検整備)によって定められた運転者の義務ですが、乗用車の場合は法定点検を受けなくても罰則や罰金はありません。ただし、事業用の車両の場合は罰金があるので注意しましょう。
車検と車検の間に行う12か月点検は「1〜3万円」、車検と同時に行う24か月点検は車検費用とあわせて「10万円」です。車の大きさや年式、部品交換・修理の有無によって費用は変動します。
法定点検には「〇月〇日〜〇月〇日まで」などの明確な期限がありません。ただ、時期を大幅に過ぎてしまうと、その時期に点検をする意味が薄れてしまうので、1か月前後を目安に受けることをおすすめします。
また、ディーラーや販売店によっては、指定された期間内に法定点検を受けると点検費用が割引されるサービスを実施している場合があります。こうしたサービスを活用すれば、点検費用を抑えられるでしょう。
法定点検で必要なものは車検証と法定点検費用です。24か月の法定点検と車検を同時に受ける場合は、車検で必要な自賠責保険証、納税証明書も必要になります。なお、法定点検の費用は現金払いのみのケースもあるので、事前に店舗に問い合わせておきましょう。
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