トヨタ GR86の買取相場まとめ

トヨタ GR86は、SUBARUとの共同開発により誕生した86の伝統を継承しつつ、SUBARU開発陣と切磋琢磨しながら「GRらしい走りの味」を追求した「更なる高い次元でのダイレクトで気持ちのいい走り」を持つスポーツカーとして2021年10月に誕生しました。2012年4月デビューの「86」から9年ぶりのフルモデルチェンジで、名称を「GR86」へ一新し、走る楽しさを進化させた新世代モデルとして注目を集めています。

エンジンは、進化を遂げたD‐4S搭載水平対向4気筒エンジンを採用。「軽量コンパクトかつ低重心なエンジン」という特徴はそのままに、2Lから2.4Lへの排気量アップにより動力性能を向上。0〜100km／h加速性能を従来型の7.4秒から6.3秒に高めたことで、よりスポーティな走行性能を実現しています。

グレードは「RC」「SZ」「RZ」の3グレードを展開し、トランスミッションは、「RZ」、「SZ」にスーパーインテリジェント6速オートマチックと6速マニュアル、「RC」は6速マニュアルのみの設定となっています。また、初代86の10周年記念モデルやAE86生誕40周年記念モデルなど、数々の特別仕様車も発売されており、スポーツカーファンから高い支持を得ています。

2023年11月には一部改良が実施され、MT車にアイサイトを標準設定。ステアリングにハンズフリースイッチを全車標準装備したほか、VSC制御最適化によるコーナリング時の走行安定性や安全性能、電子スロットル出力特性の変更によるコントロール性が向上するなど、継続的な進化を遂げています。

年式ごとの買取価格傾向

GR86の買取相場は200万～347万円となっており、発売から数年が経過しているにもかかわらず高い水準を維持しています。これは中古車市場での流通量の少なさと、継続的な需要の高さを反映した結果といえるでしょう。

• 2024年式（1年落ち）：215万～310万円
• 2023年式（2年落ち）：200万～320万円
• 2022年式（3年落ち）：225万～347.2万円
• 2021年式（4年落ち）：200万～305万円

新しい年式である2024年式は、新車供給の少なさから需要が高く、どのモデルでも高額な買取相場が期待できます。希少価値の高い台数限定車や特別仕様車であればさらに高額で取引されると考えられるでしょう。

全体として、年式が新しいほど高値がつきやすく、走行距離や装備内容によって価格差が生じる点が特徴です。

走行距離による価格変動

走行距離による価格変動も明確に現れており、3万km未満であれば300万円以上の査定評価を期待できる可能性があります。

詳細な走行距離別相場は以下の通りです。

• 1万km未満：225万～348万円
• 1万～2万km未満：200万～310万円
• 2万～3万km未満：240万～323万円
• 3万～4万km未満：200万～250万円
• 4万～5万km未満：250万円
• 5万～6万km未満：251万円

5万kmを超えると、足回りやクラッチなどの消耗が懸念されるため、年式相場から10万〜20万円程度下落する可能性があります。ただし、人気車種であるため、下落幅は抑えめともいえるでしょう。

このように、走行距離は査定評価において影響があり、売却タイミングを判断するうえでの重要な指標となります。

ボディカラー別の価格傾向

ボディカラーは買取査定において重要な要素となっています。

GR86ではカラーバリエーションが豊富に用意され、パールホワイト系、ブラック系以外にも幅広く展開されています。

トヨタ GR86で展開されているボディカラーの例

• スパークレッド
• クリスタルブラックシリカ
• クリスタルホワイトパール
• リッジグリーン
• マグネタイトグレーメタリック
• アイスシルバーメタリック
• サファイアブルー
• フレイムオレンジ

一般的に、パールホワイト系やブラック系などの定番カラーは高額査定になりやすいです。ただし、GR86では、ベーシックなホワイトやブラックカラーに加えてブルーやレッド、オレンジといった、スポーツカーらしい目を引くボディカラーも人気な傾向にあります。

ボディカラーにおける査定額の差は大きくないと考えられるでしょう。

下取りと買取の価格差について

ディーラーでの下取りと比較すると、中古車専門店や一括査定サービスでの買取のほうが高くなるケースが一般的です。

下取りは、新車購入を前提としたサービスのため価格が控えめになりがちです。しかし、買取では車の状態や装備、オプションパーツなども加味されるため、より正当な評価が得られる可能性があります。

買取においては、複数業者に査定依頼を出すことで、適正価格を見極めることが重要です。

トヨタ GR86を高く売るためのポイント

グレードによる価格差

どのグレードの買取価格も、比較的高額になりやすいGR86ですが、グレードによって多少の差が生じています。カーセブンの査定実績によると、最上位グレード「RZ」は200万〜348万円、中間グレード「SZ」の225万〜300万円、ベースグレード「RC」の215万〜280万円という相場です。状態などにもよりますが、グレード間で50万円以上の価格差が生じる場合もあると把握しておきましょう。

「RZ」「SZ」は6Super ECTか6速MTの選択が可能です。brembo製ベンチレーテッドディスクブレーキや特殊加工が施されたアルミホイールなど、標準装備、オプション装備ともにスポーツ性能が追求されているため、中古車市場でも高い評価を受けています。

一方、「RC」はカスタムベースとしての需要もあり、エントリーモデルながら一定の人気を保っています。グレード選択は買取価格に大きく影響するため、売却時には装備内容の詳細を把握しておくことが重要です。

年式と売却タイミング

GR86は2021年10月の発売からまだ数年のため、年式による大きな価格差は発生していませんが、売却タイミングは買取価格に影響を与えます。

また、2023年11月に一部改良が実施され、MT車にアイサイトが標準設定されたことで、改良前モデルと改良後モデルでの評価に差が生じる可能性があります。

さらに、2024年10月には特別仕様車「RZ Ridge Green Limited」が200台限定で発売されるなど、新しい特別仕様車の登場により既存モデルの相場が影響を受けることもあるでしょう。

一般的に車の価値は年々下がっていく傾向にあるため、「車の買い替えを検討している」「しばらく乗っていない」という場合には、価格維持の観点から早めの売却が有効です。

市場動向を見極めながら、適切なタイミングでの売却を検討することが高値売却につながるでしょう。

走行距離と査定額の関係

GR86の買取価格は走行距離によっても、少額ながら差が生じています。

カーセブンの実績では、1万km未満の車両で225万～348万円、1万〜2万km未満で200万～310万円、3万〜4万km未満で200万～250万円となっており、走行距離の増加に伴って買取相場の上限が下がる傾向にあります。

2021年から販売がスタートしたため、中古車市場においても走行距離の少ない車両が多く流通していると考えられます。そのため、過走行な車両であればボディへのダメージが通常使用分以上に蓄積されているとして査定が下がってしまうケースがあります。

おおよその目安は「1年間に1万km」であり、2021年式の初期モデルであれば3万km前後が標準的な走行距離と考えられます。スポーツカーという性格上、走行距離は査定評価において重要な要素となるため、売却時期の判断材料として活用することが推奨されます。

人気ボディカラー

GR86のボディカラーは買取価格に大きな影響を与える要素です。

カーセブンの査定実績によると、最も高値で取引されているのはパールホワイトの348万円、続いてブルーとブラックが320万円、オレンジの310万円といった順となっています。

GRのイメージカラーであるホワイト系やスポーツカーらしい鮮やかなカラーが市場で高く評価されている傾向が見られます。オレンジは10周年記念車で特別に設定されたカラーで、初代86を彷彿とさせることからファンからの人気が期待できるでしょう。

一方、グレーは相対的に低めの評価となっています。

内外装の状態チェック

GR86の査定では、内外装の状態は価格に影響します。スポーツカーという性格上、走行性能を重視するオーナーが多く、サーキット走行やスポーツドライビングでの使用履歴がある車両も存在するため、通常の乗用車以上に内外装の状態確認が重要になります。

外装では、ボディの小キズやヘコミ、フロント、リヤバンパーの擦りキズ、ホイールのキズなどが査定ポイントとなります。内装では、スポーツシートの擦れや汚れ、ステアリングホイールの摩耗、シフトノブの状態、メーター周りの動作確認などが重要です。特にMT車の場合、クラッチペダルの摩耗具合も評価対象となります。

基本的に小さなキズやヘコミがあっても、修理せずに査定に出すことが推奨されます。修理費用のほうが高くなる可能性が高く、不適切な修理により逆に価値を下げてしまうリスクもあるため、修理ではなく、清掃やメンテナンスといった改善できる部分について、事前に対応しておくことが効果的になるでしょう。

特徴的な機能や性能面のポイント

GR86の査定では、スポーツカーとしての特徴的な機能や性能面が重要な評価ポイントとなります。

水平対向4気筒2.4Lエンジンによる235ps（173kW）の最大出力と25.5kgf・mの最大トルク、0〜100km/h加速が6.3秒の動力性能は、中古車市場でも高く評価される要素になるでしょう。

トランスミッションの種類（6速MT、6速AT）による評価差も存在し、スポーツカー愛好家からはMT車の人気が高い傾向にあります。安全装備では、SUBARUの運転支援システム「アイサイト」の搭載状況（2023年11月改良でMT車にも標準装備）も査定に影響する可能性があるでしょう。

また、BOXERメーター（7インチカラー＋LCD液晶メーター）の動作状況、オプションで追加可能なbrembo製ブレーキシステム（SZグレード以上）の機能確認、VSC（Vehicle Stability Control）などの走行安定システムの正常動作も重要なチェックポイントです。

定期点検記録や整備履歴があることで、これらのシステムが適切に維持されていることを証明でき、査定額アップにつながる可能性があります。

トヨタ GR86の世代別モデル特徴と買取相場

初代GR86（2021年10月〜2024年10月）

トヨタ GR86は、2021年10月に発売された純粋なスポーツカーで、86の後継モデルとして位置づけられています。最大の特徴は、新開発の2.4L水平対向4気筒自然吸気エンジン（FA24）を搭載したことによる、最高出力235ps、最大トルク250N・mという走りの力強さです。先代86と比較して約30psのパワーアップを実現し、よりスポーティな走行性能を獲得しました。

ボディサイズは全長4,265mm、全幅1,775mm、全高1,310mmとコンパクトで、FR駆動レイアウトによる優れた重量配分（前後53:47）を実現しています。トランスミッションは6速マニュアルトランスミッション（6MT）と6速オートマチックトランスミッション（6AT）を設定し、ドライバーの好みに応じて選択可能です。

内装面では、スポーツカーらしい運転集中性を重視したコックピット設計を採用。メーターにはBOXERメーター（7インチカラー＋LCD液晶メーター）を装備し、水平対向エンジンのピストンの動きをモチーフにしたオープニングアニメーションで運転前の楽しさを演出します。安全装備では、AT車にアイサイトを標準装備し、走行時の安全サポートやプリクラッシュセーフティブレーキなどを搭載しています。

2024年8月には一部改良が実施され、細かな改良によって商品力が向上しました。同年10月には特別仕様車も発売され、限定的な装備や専用カラーが設定されています。これらの仕様変更により、中古車市場でも年式やグレードによる価格差が明確に現れており、買取査定時にも重要な評価ポイントとなっています。

モデルチェンジ・マイナーチェンジがGR86の査定に与える影響とは？

GR86の査定額において、モデルチェンジやマイナーチェンジの影響は無視できません。2021年に登場した初代GR86は、旧86から大幅な進化を遂げた新型モデルであるため、登場初期から高いリセールバリューを維持してきました。しかし、2024年8月の一部改良および10月の特別仕様車登場により、同年以前のモデルの価値は相対的に下がる可能性があります。

マイナーチェンジによる変更点は、安全装備の拡充や快適性の向上、記念モデルによるブランド価値の上昇などが挙げられます。特に、RZの40th アニバーサリーリミテッドや10th アニバーサリーリミテッドといった限定車は希少性が高く、将来的に中古市場での価格上昇も見込まれます。一方で、改良前のモデルは「旧型扱い」されやすく、売却時にやや不利になる可能性もあるため注意が必要です。

ただし、GR86は本格的なスポーツカーというジャンルであり、「最新であること」よりも「状態のよさ」「MT車かどうか」「グレード構成」などが価格を大きく左右します。事実、2022年式の個体であっても300万円超の査定実績があり、走行距離やメンテナンス履歴次第では高値が充分狙えます。

売却を検討する際は、モデルチェンジの時期を把握したうえで、市場での相場動向や競合在庫数などを確認し、最も評価されやすいタイミングを選ぶことが重要です。とくにフルモデルチェンジが噂されているタイミングでは、旧型の価値が急落するリスクもあるため、事前の査定比較をおすすめします。

トヨタ GR86を高値で売るために知っておきたいこと

複数業者への査定依頼の重要性

GR86に限らず、査定額を見極めるためには、複数の買取業者に査定を依頼することを意識しましょう。同じ車でも、業者によって在庫状況や販売ルートが異なり、提示される金額に差が出ることがあります。

ただし、複数業者に一括で査定を依頼する「一括査定」は便利な反面、複数業者から短時間に連絡が入るため、電話対応に追われてストレスになるケースもあります。

むやみに多くの業者へ依頼するのではなく、公式サイトや口コミで信頼できるかを確認したうえで、実際に電話や店舗での対応を見て「安心して愛車を任せられる業者か」を見極めることが大切です。トラブルにつながることもあるため、業者選びは慎重に行いましょう。

売却時期（需要期・季節）を考慮する

GR86を高く売るには、「いつ売るか」も重要なポイントです。中古車市場の相場は季節や需要に応じて変動します。特に1月〜3月の年度末シーズンや、6月〜7月のボーナス期は中古車の需要が高まり、買取価格が上がる傾向があります。GR86のようなスポーツカーは春から夏にかけてのドライブシーズンを控えた時期に需要が集中する可能性があるため、買取相場も比較的高くなる時期ですしょう。

反対に、年末や中古車販売が鈍る冬季は相場が下がりやすい傾向があります。このように、タイミングを見誤ると、数万円以上の差が出ることもあります。

また、新型モデルの発表やマイナーチェンジ直後は旧型モデルの需要が一時的に落ちるため、モデルチェンジ前の売却もひとつの狙い目です。季節的な需要変動を考慮した売却時期の選択が高値での売却につながります。

アピールポイントを整理するコツ

買取査定では、車両の「見た目」だけでなく、「装備や状態を伝える情報の整理」が重要です。GR86の場合、純正オプションや特別仕様車の装備、低走行距離、定期点検記録、禁煙車かどうかなどは査定額に大きな影響を与える要素になりやすいでしょう。

特に「RZ 10thアニバーサリーリミテッド」や「RZ 40thアニバーサリーリミテッド」などの特別仕様車は、専用装備の詳細が評価ポイントになります。brembo製ブレーキシステム、専用ホイール、スポーツシートなど、スポーツ性能に関わる装備内容や購入時の明細書があれば準備しておくことがおすすめです。

また、整備記録簿や車検証、スペアキー、取扱説明書などの付属品が揃っているかも確認しておきましょう。純正パーツの保管状況やカスタマイズ履歴の説明も査定額に影響するため、アピールポイントをあらかじめ整理しておくだけで、数万円の査定アップが期待できるケースもあります。

修復歴・事故歴車の売却注意点

事故や修復歴があるGR86でも売却は可能ですが、査定価格には大きな影響が出ることを理解しておきましょう。フレームに損傷が及ぶような大きな修復歴がある場合、数十万円単位で査定額が下がる可能性があります。逆に、バンパー交換などの軽微な修理であれば大きなマイナス評価とはならないケースもあるため、修復歴となるようなキズかどうかが重要なポイントです。

修復歴や事故歴において重要なのは、事実を正直に申告することです。査定時に黙っていても、後から修復歴が発覚すれば、信頼を損ね減額や買取不可になる恐れもあります。スポーツカーを専門に扱う業者によっては修復歴車の再販ルートを持っていることもあるため、複数の業者に相談することで、より高値での売却につながるかもしれません。

修復歴の有無は査定基準に大きく関わるため、事故歴のある車でも「正しく評価してもらう」ための準備と説明が高値売却のカギとなります。スポーツカーという特性上、走行性能への影響度合いが特に重視される傾向があります。

※本記事は2025年7月時点の情報をもとに作成しています。中古車の相場は市場動向により変動するため、最新の価格と異なる場合があります。